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46-2.平原遺跡1号墓の築造年代 [46.倭国誕生から倭国大乱まで]

平原遺跡の1号墓の築造年代については、弥生時代後期の中頃(西暦100年前後)とする説と、弥生時代後期後半から終末(西暦200年前後)とする説の二つがあった。前原(糸島)市教育委員会が昭和63年(1988年)から10年かけて平原遺跡周辺の調査を行い、1号墓の南側で周溝を共有する2号墓を発見し、2号墓は1号墓とほぼ同時期に造られたと推定している。2号墓の南側から庄内併行期と見られる土器破片が見つかり、1号墓の造られた年代は弥生時代終末(200年~250年前後)と考えられるようになった。

Y23平原1号墳全体図.jpg私はこの結論に疑問を持っている。平原遺跡1号墓の周溝からは数基の土壙墓が発掘されている。原田大六氏はこの土壙墓を殉死者の墓と考えておられたそうだが、現在では土壙墓は周溝が埋没した後に造られたものと考えられている。『福岡県平原方形周溝墓図録』伊都国歴史博物館(2007)によると、1号墓の周溝からは弥生後期前半と終末期の土器片が出土しており、周溝の土壙墓からは鉄鏃・鉄鉇(ヤリガンナ)・鉄刀子・ノミ状鉄器が出土している。これらからすると、周溝の弥生後期前半の土器片は1号墓が造られた直後のものであり、終末期の土器片は土壙墓が造られた頃のものと考えるのが、事実に即していると思える。しかし、周溝の土器片は無視されている。

年代の決め手になった土器片については、「2号墓南側から庄内併行期と思われる土器の破片が出土している」と『伊都国の研究』に糸島市教育委員会の角浩行氏が記載している。1998年10月に前原
(糸島)市教育委員会が発行したWebサイト「平原通信」に「平原遺跡発掘調査中間報告」が記載され、「2号墓からの出土品は確認できていませんが、南側の周溝を壊しているみかんの木を植えるための溝から土器片が出土しています。この土器と2号墓付近から出土した土器を参考にすると、墓が作られた年代は弥生時代終末から古墳時代初頭(西暦200年~250年前後)にかけてと考えられます。」とある。両者の話を突き合わせると、1号墓の年代を弥生時代終末とする決め手になった、2号墓南側から出土した土器破片は、南側の周溝を壊しているみかんの木を植えるための溝から出土したことになる。

Y24.平原2号墳.jpg図Y24は、『伊都国の研究』に掲載されている2号墓の図である。2号墓は周溝が1号墓と共有されており、1号墓とほぼ同時期に造られたと推定されている。また、2号墓の周溝には1号墓と同じように4基の土壙墓が存在してある。これらからすると、2号墓の周溝には1号墓と同じように、弥生後期前半と終末期の土器片があったと考えられる。2号墓の南側の周溝を壊しているみかんの木を植えるための溝から出土した土器片は、2号の周溝からのコンタミ(異物混入)であった可能性がある。倭国の歴史解明に重要な役割を果たすであろう平原遺跡1号墓の築造年代を、この土器片に託すわけにはいかない。平原遺跡1号墓に眠っていたのは、107年に後漢の安帝に朝貢した倭国王帥升と考え、築造年代を125年前後と比定する。平原遺跡1号墓から出土した方格規矩鏡の年代、周溝から出土した土器の年代と齟齬はない。


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コメント 2

岡田博喜

一号墳で最も不思議なことは千切れた小玉が死者の右手付近に集められていることです。木棺があるわけですから、こういう風には置けないはずです。また千切れた小玉を修復せず、そのまま埋めてしまうことも変です。そのほか錆びた鉄剣の置かれ方も、埋葬時にあのように置くのは不可能であるはずです。木棺がいったん撤去されたと考えるほかありません。鏡の欠片や陶器片が土壙の底に残ることも、空中(土中)に残ることもあり得ない話で、木棺は撤去され、腐った遺体ともにおそらく近畿へ移動荒されたと思います。
by 岡田博喜 (2022-02-24 01:31) 

大野克浩

私も一号墳に疑問を持っています。1800年近く土中にあったにしては鏡の模様が立ちすぎ、破片のエッジも立ちすぎです。まるで最近割ったかのような状況です。そして複数の鏡が彩色されているという事ですが、偶発的な銅イオン変化と言われる人もいますが、彩色が鏡の内区にだけ見られるものがあり、これは意図的な塗分けです。顔料も使っていないということから研磨による色出しではないでしょうか。原田氏は元研磨工でした。また伊勢神宮の八咫鏡はそれを収納していた樋代の内径から20㎝程度でしかありえません。原田氏の言う46.5㎝の鏡など樋代に入りません。他にもありますが、私は原田大六氏による捏造ではないかと考えてます。
by 大野克浩 (2023-05-26 07:41) 

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