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C-1.新型コロナの動向は予測できる [番外:新型コロナ感染指数で解く]

  はこれまで古代史の色々なテーマについて挑戦し、新たな発見をしてきました。その根本は、多くのデータを解析することにより真実を見つけ出すことでした。今回、新型コロナウイルスの新規感染者数の動向を読み解くことに挑戦し、実効再生産数()に変わる新たな指標、感染指数(RxP:アール バイ ピー)を見つけ出すことが出来ました。

C-0.P・R・RxP.png図C-0を見てください。黒線は全国の新規感染者数を指数(P:Log10(人数/10))で表したものです。緑線が全国の実効再生産数(R)です。黒線と緑線は長いスパンでみると傾向は似ていますが、短いスパンでは全く異なっています。グラフで見ると実効再生産数の緑線は、新規感染者数の黒線の傾斜の変化(前週と前々週の比較)を表したものになっています。3/23~4/4にかけて実効再生産数の緑線が大きく上昇しているのは、3/12~3/22までほぼ横ばいだった新規感染者数の黒線が、3/23を境に立ち上がったからです。4/5~4/15にかけては、黒線が上昇しているにもかかわらず、緑線が下降しているのは、黒線の上昇の傾斜が前週より緩やかになったからです。

 

実効再生産数(再生産数)は1人の感染者が何人にうつすかを示す指標で、再生産数が1を超えると流行は拡大することを示し、逆に1を下回ると流行は終息に向かうことを示しているといわれています。全国の新規感染者が4月の中旬に約10日間(4/12~4/22)に渡って毎日500人前後出ていた頃は、非常に不安な思いでした。そのピークが終わる4/23頃に、まだ約500人の新規感染者が出ているときに、再生産数(R)が1になり、「爆発的感染の心配はなくなりました。安心してください。」 と言われても、安心は出来なかったでしょう。再生産数を指標に新型ウイルスの動向を語られても、我々の心理とは合わない面があるのです。再生産数(R)は細菌やウイルスの増殖には最適解でしょうが、人間社会での感染者の増減には少しズレがあるように感じました。

 

 

そこで私は、再生産数Rと新規感染者数P(P=Log10(人数/10))を掛け合わせた感染指数RxPを思いつきました。新規感染者の増減がない日が続くと、1百人/日が続いても、1千人/日が続いても、1万人/日が続いても、再生産数は何れもR=1となります。しかし、感染指数RxPでみると、1百人/日はRxP=1、1千人/日はRxP=2、1万人/日はRxP=3となります。RxPが1を下回れば安心ですと言えるのです。その他に、感染指数(ピンク線)RxPの特徴は、Pが1以下ではRxPはRの下になり、Pが1以上ではRxPはRの上になる。Rが減少してもPが増加しているかぎりRxPは大きく減少しないことにあります。感染指数(RxP:アール バイ ピー)は、実効再生産数と感染者数の両者を包含し、実効再生産数Rより危険ゾーンと安全ゾーンを実態に即して明確に分けることができ、言い訳することなく一目で分かる指標で、我々の不安感・安心感にそっていると思っています。

 

 

図C-1は全国の新型コロナウイルスの新規感染者の推移から作成した感染指数(RxP)の推移です。新規感染者のデータは、NHK NEWS WEB の特設サイト「新型コロナウイルス」の「データで見る」から集計しています。RxPには二つの曲線が現れていますが、赤は感染指数(RxP)の7日間の移動平均でセブンと呼び、警告・自粛・解除予告などの声明を発するために使う曲線です。青は感染指数(RxP)の21日間の移動平均でトゥエンティワンと呼び、緊急事態宣言の発令や解除の行動を起こすために使う曲線です。横の点線が目標線で、これ以下が安全ゾーンとなります。目標値は新規感染者数P(P=Log10(人数/10))の値で表わします。日本全体の目標値は、新規感染者数が100人のP=1.0ではないかと思っています。図C-1で具体的に説明したいと思います。なお、現実にどうであったかは青字で記しています。

 C-1.日本RxP曲線.png

1)もしも私が、総理大臣だったら!

①3月12日。感染指数(RxP)に従えば、セブンが1を越えたので、非常事態宣言を発令しなければならない状況が近づいていると警告を発します。

 

3月19日、新型コロナ対策専門家会議は現状の状況分析を行い、日本国内の感染状況は、引き続き持ちこたえているが、一部の地域では感染拡大が見られる。感染源が分からない患者数が継続的に増加すると、爆発的な感染拡大につながりかねないと発表した。

 

②3月21日。セブンが1を下回ったので、ひとまずパンデミックは回避できました。しかし、トゥエンティワンが1に接近しているので安心は出来ないと自粛を継続するよう声明を出します。

 

③3月29日。セブンとトゥエンティワンが同時に1を越えたので、予告することなく緊急事態宣言を3月30日に発令します。政府より8日間早く緊急事態宣言を出しています。

 

4月7日、安倍首相は新型コロナ対策本部で、東京など7都府県を対象に、法律に基づく緊急事態宣言を発令した。期間は4月7日から連休明けの5月6日までの1ヶ月間。人と人との接触機会を最低7割、極力8割の削減を目指し、外出自粛を国民にお願いした。そして、4月16日には、緊急事態宣言の適用地域が全国に拡大された。

 

5月1日、新型コロナの対策を検討する専門家会議が、今後の感染抑制に向けた提言を示した。新規陽性者数は、4月10日前後は700人近くだったが、直近では200人程度に留まる日も増えてきた。オーバーシュート(爆発的な患者急増)を逃れ、新規感染者数は減少に転じているとして、外出自粛等は一定の成果を強調した。しかし、発症者数の急増のスピードに比べれば、減少のスピードは緩やかで、大都市圏からの人の移動により、地方に感染が拡大したと分析している。この感染症への対応は「長丁場」を覚悟すべきだと訴え、感染防止のための「新しい生活様式」を定着させるよう促している。

 

④5月3日。セブンが1を下回っています。トゥエンティワンが1を下回ると緊急事態宣言を解除できますが、その日の予測が⑤の5月11日(緑線で囲まれたセブンをコピーしてトゥエンティワンに貼り付ける)と出ました。そこで、5月11日から1週間、トゥエンティワンが1を越えなければ(言いかえれば、新規感染者の7日移動平均が100人以下であれば)、5月17日に緊急事態宣言を解除する見通しであるとの声明が出せます。

*5月3日に、5月11日のRxP値は1であると予測しました。11日の実際のRxP値は1.03、12日は0.96で、予測はピッタリ当たっています。

 

5月4日、安倍総理は緊急事態措置の実施期間を5月31日まで延長することを宣言した。実施区域は全都道府県で、現在の枠組みに変更はないそうだ。ただし、10日後の5月14日を目途に、専門家にその時点での状況を改めて評価をしていただくと述べている。

 

感染指数(RxP)の推移は、政府の専門家会議の提言に、そのスピードと正確性において、優るとも劣らない指針を与えています。数感染指(RxP)の目標値は、国や都市の人口や医療体制によって決まる数値だと思っています。私は、東京は0.(R:1以下、MA:40人以下)、大阪は0.(R:1以下、MA20人以下)が適当でないかと考えています。目標値が決まれば、いつ何をすれば良いかの指針が得られます。

 C-2.東京の感染指数.png

2)もしも私が、東京都知事だったら!

-1が東京の感染指数(RxP)です.3月20日から22日の3連休の前に、東京都の小池知事は何の警告もしなかった、それが後の新型コロナの感染拡大に繋がったという批判をしたマスコミがありました。C-1をみると3連休の後からセブンとトゥエンティワンが立ち上がっており、そうであったとは思えますが、感染指数からみても3連休の前に警告は出せません。PCR検査が少なく、陽性者の発見が少なかったのが原因だと思います。

 

3月25日、小池都知事は緊急記者会見を開いて、このまま何もしなければロックダウン(都市封鎖)を招いてしまう。今の状況は感染爆発の重大局面であるとの認識を示し、3つの密を避けるような行動、週末(3月28日、29日)の不要不急の外出の自粛を要請した。

 

感染指数の推移を基にすれば、東京都の緊急事態の入口については、①3月27日に緊急事態宣言(権限があれば)が近いとの声明を出し、②3月30日に緊急事態宣言の実行を果すことになります。全国より1日遅れということになります。3月25日の小池知事の声明は、感染指数に比べて2日早く、ロックダウンという言葉を使って危機感を煽った点は評価できまが、しかし、その後47日に政府が緊急事態宣言を出すまでに、4回の記者会見を行っていますが、事態は深刻であるにも関わらず、3密を避ける行動、終末の外出自粛、夜間の外出自粛の要請をしただけです。いみじくも、小池知事は“中間管理職である”とおっしゃっていますが、具体的な行動を起したくても、起せなかったのかも知れません。小池知事は4月7日からの政府の緊急事態宣言に従ったわけですから、感染指数に基づいた発令は東京都より1週間早いことになります。

 

5月8日、小池知事は新型コロナの感染状況について「依然として予断は許さない」と述べ、外出自粛や休業要請の解除や緩和に向けた「出口戦略」については時期尚早との見方を示している。

 

感染指数の推移を基にすれば、東京都の緊急事態の出口については、③5月12日に緊急事態宣言の解除(権限があれば)が近いとの声明を出し、④5月20日から1週間、新規感染者が7日の移動平均で40人を下回れば、5月27日に解除すると声明を出すことが出来ます。これからすると、5月8日の小池知事の見解は正しい判断だと言えます。問題は出口をいつ、どんな指標で判断するかと言うことだと思います。

 

3)もしも私が、大阪府知事だったら!

19日、大阪府の吉村知事は新型コロナの急激な感染拡大を防ぐため、20~22日の3連休に大阪と兵庫間の不要不急の往来は控えてほしいと呼びかけた。この声明の発端は、18日に厚生省の職員が16日付けの文章を持ってきて、「(両府県の)全域で見えないクラスター連鎖が増加しつつあり、感染の急激な増加が始まっていると考えられる」と現状分析し、28日から4月3日までの間に、両府県の患者数が3374人、うち重篤者は227人に達する」との試算を示したからだ。

 

C-3.大阪の感染指数.png-3の大阪の感染指数(RxP)の推移では、①が3月9日で、②が3月14日です。厚生省は①から②の間の新規感染者の動向をみて、このままだと大阪が危ないと文章を持って吉村知事に会いにきたと推察します。感染指数の推移を基にすれば、①3月9日にセブンガが目標の0.3を越えると、非常事態宣言を発令しなければならない状況が近づいていると警告を発します。厚生省の動きよりも1週間早い警告です。②3月14日にトゥエンティワン0.3を越えると、非常事態の行動を起すことになります。大阪府より5日間早い行動です。その行動(規制)の強弱は判断基準が必要と思いますが、今回はセブンが直ぐに下降局面になっているので、トゥエンティワンの爆発的上昇は起らないと推測できます。

 

③3月23日でセブンが目標値を下回りますが、トゥエンティワンが目標値よりも上にあるので、自粛は引き続きお願いすることになります。④4月1日でセブンが目標値を越え、トゥエンティワンも目標値よりも上にあるので、非常事態宣言を発令し、規制を強化しなければなりません。 

 

大阪府の緊急事態の出口については、⑤5月4日に緊急事態宣言の解除(権限があれば)が近いとの声明を出し、⑥5月12日から1週間、新規感染者が7日の移動平均で20人を下回れば、5月19日に解除すると声明を出すことが出来ます。

 

5月5日、大阪府の吉村知事は政府の緊急事態宣言の延長を受け、外出自粛や休業要請を今月31日まで延長することを決定した。しかし、大阪府独自の基準「大阪モデル」に基づいて、今月15日以降、段階的に解除していくと発表した。

   新規感染経路不明者が10人未満

   陽性者率7%未満

   重症患者の受け入れ病床の使用率60%未満

 

大阪府の吉村知事は出口戦略において、政府よりも早く具体的な数値と日程を提示し、称賛を浴びておられます。感染指数の推移を基にした出口の時期の予測は、その速さと正確性においては優るとも劣っていません。感染指数が新型コロナの動向を予測(セブンの挙動でトゥエンティワンを予測)できるのは、移動平均の時間差を利用しているためです。このあたりのことは、明日お話いたします。

 

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新型コロナウイルスの話は、本日から4日間連続して投稿する予定です。明日の表題は「新型コロナを解く:実効再生産数Rには欠陥がある」で、感染指数(RxP)の内容を掲載いたします。本日掲載する予定でありました「68-5.AIによる高坏の型式判定」は、来週の金曜日(5月22日)に投稿の予定です。

 

なお、新型コロナの関係で私のブログに始めて訪問していただいた方々、是非ブログの古代史の記事もお読み下さい。とは言っても、記事は膨大でありますので、ページの左側にあるマイカテゴリーの下部に「スライド:倭国の誕生と変遷」という表題があります。プロジェクタのスライド形式にまとめておりますので、読み易いと思います。

 

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C-2.実効再生産数には欠陥がある [番外:新型コロナ感染指数で解く]

新型コロナウイルスの報道がされるようになって、普段聞きなれない言葉が飛び交うようになった。パンデミック(世界的大流行)、クラスター(感染者集団)、オーバーシュート(爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)、そして実効再生産数などである。実効再生産数は、1人の感染者が何人にうつすかを示す指標で、再生産数が1を超えると、流行は拡大することを示し、逆に1を下回ると流行は終息に向かうことを示している。

 

政府の新型コロナ対策専門家会議は、5月1日付けの「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表した。4月7日に7都府県に出され、16日に全国に拡大された緊急事態宣言により、「新規感染者数は減少傾向に転じるという一定の成果」が確認されたが、「長丁場での対応が必要」としている。

 

新規陽性者数は、4月10日前後は700人近くだったが、直近では200人程度に留まる日も増えてきたことから、外出自粛等は「一定の成果」を見せている。しかし、3月20日過ぎから生じた発症者数の急増のスピードに比べれば、減少のスピードは緩やかである。減少が鈍い理由は、地方に感染が拡大したからと分析している。

 

全国の実効再生産数は、3月25日は2.0だったが、4月10日には0.7となり、1を下回った。東京都は、3月14日の2.6から、4月10日には0.5に低下。「全国的に新規感染者数は減少傾向にあることは確か」として、図C-4を提示している。なお、C-4において、黒線は私が計算した実効再生産数のグラフである。

 

C-4.実効再生産数政府.png新型コロナの報道がなされるようになって、テレビ局から引っ張りだこの白鴎大学の岡田晴恵教授(感染免疫学、公衆衛生学)は5月3日、1日に行われた政府の専門家会議で発表された実効再生産数について疑問を呈している。緊急事態宣言は4月7日に7都府県に対して出され、16日に全国に拡大されている。問題は今回の4月10日の実効再生産数0.7や0.5の数字。0.7や0.5というのは、海外だったら緊急事態宣言のような施策を解除するレベルの数字。これからすると、感染が縮小傾向にあるときに緊急事態宣言が出されたことになる。この数値が本当に当たっているのか疑問に思える。国家のかじ取りをするような数値なので、その計算式やデータを開示して、複数の研究者が検証できるようにお願いしたいと話している。

 

-4を見ていただきたい、黒線は私が計算した実効再生産数のグラフであるが、黒線の実効再生産数は、3月25日は約2.0で4月10日は約0.7となっており、専門家会議の値とほぼ合っている。しかし、大きく違うところが1ヶ所ある。それは、私のグラフは18日間左にずらせて、専門家会議のグラフと合わせている。

 

私の計算は、1月21日から4月30日までのNHKが集計した新規感染者の日々のデータを使い、7日間の移動平均で実効再生産数計算している。実際に答えが出るのは2月9日から4月30日までである。C-4のグラフで黒線の右端の4月12日の0.7の値は、私の計算で実際は4月30日の値である。専門家会議の実効再生産数のグラフと私のグラフの傾向が似ていることからすると、専門家会議の4月12日の値は、4月30日までのデータを使って計算されているような気がする。

 

C-5.再生産者数山中.png私の計算の仕方、条件の設定に間違があるのではないかと心配になった。実効再生産数の計算には色々の方法があるが、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は大阪の実効再生産数を計算しブログに掲載されている。C-5が山中教授の再生産数のグラフで、黒線が私の計算した大阪の再生産数(実効再生産数)である。両者は概ね合っているが、私のグラフは4日間左にずらさなければならなかった。このズレは私が7日の移動平均を使っていることから生じたのかも知れない。ズレはともかく、私の計算した実効再生産数も使えることがお分かりいただけたと思う。

 

私が使った計算式は富山大学医学部の折笠秀樹教授のブログ、「折笠秀樹教室」の「NO.116 日本はどうして実行再生産数を示さないのか(2020.4.30)」に掲載されていたものを使用した。

    R=2(L×D)+K(L+D)+1

    R=実行再生産数

    L=平均潜伏期間=7日

    D=平均潜伏感染期間=9日

    K=対数成長速度

      K=(Log(t+(t-1)+・・・+(t-n))-Log((t-n-1)+(t-n-2) +・・・+(t-2n))/n

         t=t日の新規感染患者数(私は7日間の移動平均を使用)

    n=任意の期間(私は7日間を使用)

 

C-6.再生産数の欠陥.pngこの式を使って実効再生産数Rを計算していくと、実効再生産数Rの欠点が浮かび上がった。それがC-6の表である。実効再生産数でみると感染者が2倍増えたとき(5000人→100001人→2人)実効再生産数()は同じ1.8、感染者が同じであったとき(10000人→10000人、1人→1人)Rは同じ1.0、感染者が1/2に減少したとき(10000人→5000人、2人→1人)Rは同じ0.43である。アメリカは5月1日に実効再生産数が0.99と1を下回った。しかし、5月1日の新規感染者数は34,037人である。いくらトランプ大統領だって新型コロナは収束に向っているとは言えないだろう。

 

また、我国も新規感染者が減少してきた。非常事態宣言が解除されしばらく経った頃、前々週は一週間に一人だった新規感染者が前週に三人と二人増えたというときもあるだろう。そのときの実効再生産数は2.38となる。専門家会議は、実効再生産数2.38はオーバーシュート(爆発的患者急増)の段階なので、ロックダウン(都市封鎖)をしなければならないと提言するのであろうか。C-4、C-5の左端近くの実効再生産数を見ると、Rが非常に高くなっている。新規感染者数が少なくなると、実効再生産数は大きく変化しする。5月12日のNHKの7時のニースはこのことを取り上げていた。実効再生産数()は金科玉条ではないのだ。

 

国民は一目で分かり、色々な場面が来ても言い訳をせずにすむ指標を求めている。色々言い訳ばかりをしていると信用されなくなる。そこで思いついたのが実効再生産数()に新規感染者数の対数を掛け合わせた感染指数(RxP:アール バイ ピー)である。これまでの報道で、我々は実効再生産数()が1を下回ると安全圏に入ることが刷り込まれており、感染者が連続して100人であったとき、RxPが1になるように設定した。

  感染指数(RxP)=実効再生産数xLog(新規感染者/10+1)/1.04  

-6の表の感染指数の欄をみていただければ、感染指数(RxP)は肌で感じる値であることがお分かりいただけると思う。なお、実効再生産数の計算においては、新規感染者数のゼロが続くと計算出来ないこと、移動平均で新規感染者数が1以下になると変動が非常に大きくなることから、日々の新規感染者数に常に1を加え計算している。

 

C-7.感染者移動平均.png私は新規感染者の推移は7日の移動平均を取っている。大阪府の新型コロナの数値も7日の移動平均を採用している。C-7は全国の新規感染者の推移を、移動平均の日数を3日、7日、14日と変えて表した。新規感染者の移動平均をみると、7日の移動平均ならば、日々の凸凹が平滑されスムーズな曲線を描くことが分かる。もう一つ注目すべきことは、当たり前のことだが、移動平均の日数が多くなるほどグラフは右にズレでくる。同じ値になるのに時間差が生じることだ。

 

C-1.日本RxP曲線.png私は感染指数(RxP)の7日移動平均(セブン)と21日移動平均(トゥエンティワン)をグラフに表わした。それが昨日示したC-1の図である。移動平均の時間差を利用して、セブンが目標値を横切ると声明を出し、トゥエンティワンが目標値に到達すると行動を起こす。論文風に表題を付けるとすれば「新型コロナウイルス感染指数(RxP)の移動平均時間差による施策決定」となる。これが昨日の話である。これを安倍首相が知ったなら、鬼に金棒、失礼、獅子に鰭となるだろう。

 

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明日は「新型コロナを解く:世界各国の感染指数(RxP)動向」の表題で投稿します。アメリカのトランプ大統領、ドイツのメルケル首相が今何をしなければならないかが一目でわかります。

 

なお、新型コロナの関係で私のブログに始めて訪問していただいた方々、是非ブログの古代史の記事もお読み下さい。とは言っても、記事は膨大でありますので、ページの左側にあるマイカテゴリーの下部に「スライド:倭国の誕生と変遷」という表題があります。プロジェクタのスライド形式にまとめておりますので、読み易いと思います。

 

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C-3.世界各国の感染指数動向 [番外:新型コロナ感染指数で解く]

政府は5月14日夜の新型コロナウイルス対策本部で、緊急事態宣言を39県で解除することを決定した。そして、東京・大阪など8都道府県は特定警戒を維持した。39県を解除した理由として、新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていることを挙げている。これまでの新型コロナの報道は、新規感染者については全て1日当たりの人数であり、単位を変えられると今までと比較できない。直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下とは、百万人あたり0.71人/日で、全国90.4人・東京10人・大阪6.3人1ある。全国の値(目標値)は私の想定とほぼ同じであるが、東京は4分の1、大阪は3分の1と非常に厳しいものである。

 C8-1~3.日本RxP.png

解除条件を全国・東京・大阪の感染指数(RxP)に記載したのが、C8①~③である。5月13日(右端)段階で、日本全体ではトゥエンティワン(青線)とセブン(赤線)の両者とも目標値以下で、解除条件に適合する。大阪ではトゥエンティワンはまだ目標値に達していないが、セブンが目標値を下回っており、近々解除条件に適合すると予想される。東京は両者共に目標値を上回っており、解除条件に達するまであと一息である。

 

新型コロナウイルスは瞬く間に世界中に感染拡大し、各国ではその対策として様々な規制を行ってきた。感染拡大が沈静化しつつある現在、各国はその規制を解く時期・条件に苦慮している。日本政府が決めた、新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たりお0.5人以下が、どんなレベルであるか、各国の感染指数(RxP)に記載してみた。

 

感染指数を計算するためのデータは、NHKなどが使っているジヨンズ・ホプキン大学の集計を利用した。データは1月22日~5月13日で、計算値が出るのは3月2日~5月13日である。ジヨンズ・ホプキン大学のデータには、266の国あるいは地域の記載があるが、その中から人口や感染者を参考に、中国は省いて50ヶ国を選んだ。カナダ・オーストラリアは国全体の表記がないので、もっとも患者数の多い地域、カナダはケベック州、オーストラリアはニュウサウスウェール州とした。

 C8-4~6.世界RxP.png

C8-10.世界RxP.png50ヶ国の中で、新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たりお0.5人以下の条件を満足したのは、タイランド・オーストラリア(ニュウサウスウェール州)・ニュージーランド・韓国・台湾・香港の6ヶ国のみで、イスラエルが大阪と同じで、トゥエンティワンはまだ目標値に達してないが、セブンが目標値を下回っており、近々解除条件に適合すると予想される。韓国・台湾が新型コロナに対して行った施策はテレビで度々放映されているが、そのスピード・緻密さ・徹底振りは、日本は足元にも及ばない。イスラエルは戦時下にあり、なるほどと思わせる。

 C8-7~9.世界RxP.png

C8⑪~⑬に示したのがヨーロッパの優等生、ドイツ・スイス・オーストリアの3ヶ国。日本政府の条件にあと一歩だが、その一歩がなかなか達成出来ないことが読み取れる。これほど難しい条件だが、東京都は達成できるだろうかと心配になる。直近の16日までの数字で計算すると、16日にはセブンが目標値に到達した。予測では、トゥエンティワンが目標値に到達するのは5月21日。安倍首相は21日を目途に専門家の評価を受け、可能であれば31日を待つことなく解除すると言っている。

 C8-11~13.世界RxP.png

中国に続いて、爆発的な感染拡大をおこしたのがイタリア、そしてフランス・スペイン、その後ヨーロッパ全土に広がった。それらの国が現在どうなっているのか、C9①~③にイタリア・スペイン・オランダを示した。なお、フランスはデータの修正が多く、そのため曲線が乱れており除いた。3ヶ国とも徐々に感染が収束に向っている。

C9-1~3.世界RxP.png


ヨーロッパで感染が収まらないのがC9④のイギリス、ジョンソン首相自らが感染したことが影響したのであろうか。行動の規制を設けなかったC9⑤のスェーデンは、爆発的な感染拡大はないけれど、2次感染、3次感染が起きている。国民の多くが抗体を持つのを待っているのであろうか。C9⑥のデンマークは海を隔ててスェーデンと向き合っている。両者のカーブはよく似ている。

 

C9-4~6.世界RxP.png

最後に最も心配なC9⑦~⑨の3ヶ国。ロシアは爆発的な感染は止まったものの毎日1万人の新規感染者がでている。また、セブン(赤)を見ると、二次感染が始まったようだ。ニースでは規制を解いて産業優先の活動を始めたようだ。トランプ大統領は消毒液を飲めば良いといったが、プーチン大統領はウォッカさえ飲んでいれば大丈夫と思っているのだろう。ブラジルのボルソナ大統領は、新型コロナは怖くない、外出自粛はするなと公然といっている。この破れかぶれの戦法が凶と出るか吉と出るか。RxPのグラフは凶と言っている。アメリカのRxPのグラフはきれいな正規分布の形をしている。これをみると、ニューヨーク州のクモオ知事が必死で感染拡大を食い止めようとしたことが伺える。毎日2万人の新規感染者が出ても、実効再生産数は0.89。トランプ大統領は実効再生産数の値をみて、経済活動の再開をもくろんでいるのだろう。実効再生産数も罪なことをするものだ。

C9-7~9.世界RxP.png

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C-4.日本には神風が吹いている [番外:新型コロナ感染指数で解く]

政府は5月14日、新型コロナウイルスの新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていることを基準にして、緊急事態宣言を39県で解除することを決定した。そして、特定警戒地域として残った東京・大阪も5月17日の段階で新規感染者は大阪3.4人/日(目標6.3)と目標をクリアし、東京は15.9と(目標10.0)あと一歩の所まで来ている。前節でみるように、私が作成した感染指数(RxP)で見ても、日本政府が定めた新型コロナの新規感染者数の目標レベルは世界的に見て非常に厳しいものである。それにも関わらず、日本は平然とそれを達成しようとしている。日本は世界から称えられてよいと思うのだが、そのようなこともないようだ。

 C8-1~3.日本RxP.png

米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見える。ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保も中途半端で、感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会と比べ低い。しかし、結果は奇妙にもうまくいっているようで、死者数が奇跡的に少なく、世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つである。「結果は敬服すべきもの」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」と述べている。

 

日本の感染者数は5月13日現在1.6万人で、世界でワースト35位である。死亡率4.2%は世界でワースト59位である。イギリスは感染者数23万人・死亡率14.4%、フランスは17.5万人・15.4%、ドイツ17.4万人・4.5%、アメリカ139万人、6.0%である。今までおこなったPCR検査数では日本は約21万件、それに比べてイギリスは約180万件、フランスは約130万件、ドイツは約280件、アメリカは約930万件と膨大である。PCR検査数・感染者数・死亡率をみると、フォーリン・ポリシーの怨み節のような論評も分かるような気がする。

 

4月初め頃、マスコミは日本の感染者数が少ないのは、PCR検査数が少ないからで、潜在的陽性者は感染者の数倍、あるいは数十倍いるとの議論がなされていた。当時、死亡率は日本が2%代、イギリス・フランス・イタリアが10%程度であつたことから、私は日本の潜在的陽性者はそれほど多くないと踏んでいた。それは、もし潜在的陽性者が10倍あったとしたら、日本の死亡率が0.2%代になってしまうからであった。マスコミに登場した学者・医師のなかで、そんな話をされた方はおられなかった。

 c-10.各国のコロナ死亡率.png

5月13日現在の世界各国の新型コロナの死亡率(累積死亡者/累積感染者数)を図C10に表した。C10は、人口が5百万人以上、感染者が千人以上の条件で選別した80ヶ国で作成している。赤が死亡率10%以上、ピンクが~6%、黄が~5%、緑が~1%、青が1%未満である。日本の死亡率はワースト37位である。10万当たりの死亡者でみるとワースト73位である。

 

C-11.各国の一人あたりGDP.pngC11は、対象の80ヶ国を1人当たりのGDPで色分けした。赤が4万US$以上、ピンクが~9千$、黄が~4千$、緑~2千$、青が2千$未満である。日本はベスト22位である。C10と照らし合わせると、死亡率が10%以上と高いのは1人当たりのGDPの高い、医療体制の整った先進国のヨーロッパである。逆に1人当たりのGDPの低い、医療体制が整っていない開発途上国、特にアフリカは死亡率ガ低い。マスコミはアフリカにコロナが感染拡大すると大変なことになるといっていたが、現実は反対になっている。死亡率は医療体制には関係ないのであろうか。

 C-12.10万人-感染者数.png

-12は、人口10万人当たりの感染者数(累計)である。赤が250人以上、ピンクが~75人、黄が~25人、緑が~10人、青が10人未満である。C-10と比較すると、人口10万人当たりの感染者数が多いところほど死亡率が高くなり、感染者数が少ないところほど死亡率は低くなっている。このことは何を意味するのであろうか。

 

C-13.各国のBCG政策.png豪州在住のJUNSATO(ジュン・サトウ)氏は2020326日のブログに「BCGワクチン接種は新型コロナに有効か」という論文を発表した。サトウ氏は医学の専門家ではないものの、過去にBCGに関わる仕事をした経験を持つ方のようだ。この論文については、ニユーヨーク・タイムスも「古いワクチンは新型コロナウイルスを止めることが出来るのか」という記事を掲載している。また、専門家の間でも話題となっている。

 

この論文の要旨は、「BCGの予防接種を受けている国の方が、受けていない国よりも感染の拡がりが遅い。」というものだ。免疫学の第一人者で、大阪大学名誉教授の宮坂昌之医師はサトウ氏のデータを基に改めて独自に解析したところ、感染の拡がりだけでなく、死亡率にも同様の傾向が見受けられたそうだ。

-13は世界各国のBCG予防接種政策を示した地図である。

A(茶):現在、国民全員にBCGワクチン接種プログラムを実施している国

B(紺):以前は国民にBCGワクチン接種を推奨していたが、現在はしていない国。(各国がやめた年は、スペインが1981年、ドイツが1998年、イギリスとフランスが2005-2007年、その他にスイス・オーストリア・デンマーク・スエーデン・オーストラリア・エクワドル)

C(赤)::国民全員に対するBCG予防接種プログラムを一度も実施したことがない国。(アメリカ・カナダ・イタリア・オランダ・ベルギー)

 

私は、ジヨンズ・ホプキン大学の5月13日付けのデータから156ヶ国のを撰び、サトウ氏の論文を検証した。Bに該当する10ヶ国とCに該当する5ヶ国は、10万人当たりの感染者数でみると、カナダ・オーストラリアを除く13ヶ国が、156ヶ国中ワースト30位以内に入り、特にBCG予防接種を一度も実施しなかったアメリカ・イタリア・ベルギーの3ヶ国はワースト10に入っている。また、感染者中の死亡率はワースト10にワースト35位以内に10ヶ国が入り、BCG予防接種を一度も実施しなかったイタリア・ベルギー・オランダの3ヶ国はワースト10に入っている。過去のBCG予防接種が新型コロナの感染に免疫効果をおよぼすか、専門家の答えは出ていないが、効果があるような気がする。

 

サトウ氏は、BCG予防ワクチンの株(系統の違い)の種類によって、その効果が違うそうだ。C14は、予防接種に使用された株の分布図である。中でも紺色のロシア株と水色の日本株は最も効果的であるといわれている。ドイツは旧東ドイツではBCGはロシア(ソビエト)株を使用し、旧西ドイツは西欧株を使用し、1998年に接種の義務付けを中止しました。図C15は、3月24日現在のドイツの州ごとの感染者数である。感染者が多いほど色が濃く、旧西ドイツと旧東ドイツがはっきり分かれている。中でも旧東ドイツのベルリンがくっきりと島のように現れている。人口10万人あたりの新型コロナ死亡者は、旧西ドイツでは0.35人、旧東ドイツでは0.11人、ベルリンは東と西の合体で0.21ときれいに分かれている。

 

C-14.各国のBCG株.png

中東のイランとイラクは隣り合った国だが、C-14に見る通りイランが使用したBCGの株は現地株で、イラクは日本株である。5月13日現在で、10万人当たりの感染者はイラン136.9人、イラク8.0人、10万人当たりの死者数はイラン8.2人、イラク0.04人である。イランは現在経済封鎖を受けているといえども、イラクに比べると医療体制ははるかに整っていると想像することが出来る。それなのに、新型コロナの感染者・死亡者がこれほど少ないのは、BCGの日本株の効果であるかのような気になってくる。

 

C=16.タイの感染指数推移.png前節で私は日本政府が5月14日に出した緊急事態宣言解除の条件「新型コロナウイルスの新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下であること」を満足している諸外国があるかを、感染指数(RxP)の推移で調べた。C-16の横点線が10万人当たり05人以下の基準値である。主要50ヶ国の中で条件を満足したのは、日本を含め7ヶ国で、その中にタイランドが入っている。C-14でみるとタイランドのBCGは日本株を使用している。

 

米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見える。ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保も中途半端で、感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会と比べ低い。しかし、結果は奇妙にもうまくいっているようで、死者数が奇跡的に少なく、世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つである。「結果は敬服すべきもの」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」と述べている。日本には新型コロナについて神風が吹いている。それがBCGの日本株としたら納得出来るのだが。神風の正体がなにであるか、国民も外国人も求めている。

 

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投稿が1日遅れてしまい申し訳ありませんでした。徹夜でガンバリました。データ・図表・文章の全てが出来たてのホヤホヤです。

 


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C-5.オミクロン株は自滅し、桜の咲く頃には収束する [番外:新型コロナ感染指数で解く]

昨年8月の初めから猛威を振るった新型コロナウイルスデルタ株の感染者は、8月末にピークを向かえ、9月に入って急減し、9月の終わりには収束している。デルタ株の急減の理由について、政府コロナ分科会の尾身会長は、(1)一般市民の感染対策強化、(2)人流、特に夜間の人出抑制、(3)ワクチン効果、(4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少、(5)気象の要因など5つの要素を掲げていた。一方、1967年にノーベル化学賞を受賞したドイツの生物物理学者のマンフレート・アイゲン博士が、その4年後に提唱した「ウイルスは変異しすぎるとそのせいで自滅する」という『エラーカタストロフの限界』説を持ち出し、デルタ株の急減を説明しようとする見解もあった。いずれにしろ、第6波の感染拡大を防ぐには、なぜ感染が急拡大し、急減したかの解明が不可欠であるが、専門家の間でもその答えは出ていない。

1.感染者推移は一つの方程式で現される!
NHK NEWS WEB
の特別サイトの「新型コロナウイルス」にある都道府県別、国別の感染者数の推移を見ていると、その増減の形はどの地域おいても釣鐘形であり、品質管理でいう正規分布、統計学でいう確率密度関数の分布をしているように見受けられた。そこで、感染者数の推移が一つの式で表せないかと試み、その式を見つけ出すことが出来た。これは「世紀の大発見」かも知れない。「論より証拠」、まずは感染者数の推移と方程式が描くグラフを示す。赤線が感染者の推移、青線が方程式が描く曲線。横軸は“月/日”、縦軸は国の場合は百万人当たり感染者数、都道府県の場合は10万人当たりの直近7日間の感染者合計(データはNHK「新型コロナウイルス」サイト)とした。

日本のコロナ感染者推移.png
世界の感染者推移.png

2.感染者推移の方程式は確率密度関数がベース
コロナ感染者の推移のグラフ(赤線)と方程式の曲線(青線)がものの見事に一致している。この方程式は統計学の確率密度関数をベースに作成している。

感染者推移方程式.png

横軸のXは”月/日“ではなく、感染者数のピークの日を”0“とした日数。縦軸Yは感染者数(国の場合は百万人当たり感染者数、都道府県の場合は10万人当たりの直近7日間の感染者合計)。σとKとAが決まれば、青線の曲線を描くことが出来る。σ は山の幅に関与し、Kは山の高さに関与する。Aはピークの初期高さ(感染者数)となる。Kは10日間で増加した感染者数Dが分れば、Kは計算できる。

エクセルには確率密度関数ƒ()が搭載されているので、上図のような表計算を行い、[挿入]タブから[グラフ]メニューの[散布図(平滑線)]を選択して、X(C4C24)Y(D4D24)の範囲を選べば、コロナ感染者の推移のモデル曲線を簡単に描くことができる。新型コロナの感染者推移が描く曲線が、確率密度関数の形状であることの意義は大きい。曲線は感染の拡大期と収束期が同じ形で左右対称、そしてピークが必ず存在している。このような曲線を描くのはウイルス自体の問題であり、第5波に見られる感染者数の急減は、デルタ株ウイルスが自滅したからと推察する。


3.東京の第5波のピークと収束日は8/1に予測出来た
感染者推移が描く曲線で注目するべきことは、拡大期には直線的に増加していく時期があることである。感染者が直線的に増加する時の傾きを知ることが出来れば、確率密度関数の曲線が描くことが出来、ピークアウトの月日と感染者数、また感染拡大が始まった時と同じ感染者数になる収束日を予測できる。東京都のコロナ第5波の感染拡大が始まったのは6月28日頃で、新規感染者は490名(27日移動平均)であった。グラフでは10万人当たりの直近7日間の感染者数を表しているので25名となっている。この頃には、大きな感染拡大が起こるとは思っていなかったが、その後急激な感染の拡大が起こり、7月25日から8月1日の7日間はに直線的に感染拡大が起こっている。8月1日に今後の予測をしたと仮定する。

東京コロナ感染予測.png

確率密度関数での予測では、東京都がピークアウトするのは8月21日となった。実際のピークは8月19日であり、ピッタリ当っている。収束するのは10月6日と予測したが、実際は9月24日であった。8月1日の時点で、ピークアウト日や収束日を予測した専門家はなく、確率密度関数の曲線による感染者の予測は、専門家を超えていると自負している。

東京都の人口は14百万人、予測ではピークの感染者数は6415人(322.4X139.3/7)で、実際(4770人)の1.34倍であった。728日の厚生省の専門家会議で京大の西浦教授は、東京都の感染者は8月26日には10,643人になると述べている。私の予測は西浦教授を超える精度である。第5波はデルタ株により感染拡大、確率密度関数の曲線で推移、ウイルスが自滅して収束したと考える。第6波の感染拡大阻止に有効な対策は何であろうか。

4.オミクロン株は自滅し、桜の咲く頃には収束する
南アフリカオミクロン.png
新型コロナのアルファ株・デルタ株の感染者の推移は、確率密度関数の曲線が描くことが出来た。オミクロン株は感染力が強く、今までと違った感染拡大となっており、同じ曲線を描くことが出来るのであろうか。右図はオミクロン株の発祥の地とされる南アフリカの11月19日から1月13日までの新規感染者の推移である。オミクロン株もこれまでと同様に、ピークアウトし収束に向かっている。南アフリカでは1月15日現在でワクチンが完了した人は27%であり、オミクロン株の収束はワクチンのせいではなく、ウイルスが自滅したからと推察する。

オミクロン株がこれまでのアルファ株・デルタ株と同じ挙動を示すならば、直線的な増加割合から確率密度関数の曲線が描くことが出来、オミクロン株のピークアウト日、収束日を予測することが出来る。1月15日までの感染者のデータにより予測した。
オミクロン株による新規感染者のピークアウトは、全国・東京・大阪共に1月29日、収束日は共に2月25日であった。ピーク時の1日当たりの新規感染者は、全国で36,740人、東京で6,630人、大阪で5,090人であった。この原稿を投稿しようとしている1月18日には、東京が新規感染者が5,185名、大阪が5,396人との速報値が出た。これで計算するとピーク時の1日当たりの新規感染者は、東京は7,313人、大阪は6,363人となる。なお、この感染者数は7日間の平均であり、ピークの日の実際の新規感染者はもう少し多くなる。オミクロン株は1月29日にはピークアウトして急減する。新しい株の発生がなければ、桜の花が咲くころには、我々は平穏な生活を営むことが出来ると予測する。

オミクロン感染予測.png

 

 


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