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C-2.実効再生産数には欠陥がある [番外:新型コロナ感染指数で解く]

新型コロナウイルスの報道がされるようになって、普段聞きなれない言葉が飛び交うようになった。パンデミック(世界的大流行)、クラスター(感染者集団)、オーバーシュート(爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)、そして実効再生産数などである。実効再生産数は、1人の感染者が何人にうつすかを示す指標で、再生産数が1を超えると、流行は拡大することを示し、逆に1を下回ると流行は終息に向かうことを示している。

 

政府の新型コロナ対策専門家会議は、5月1日付けの「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表した。4月7日に7都府県に出され、16日に全国に拡大された緊急事態宣言により、「新規感染者数は減少傾向に転じるという一定の成果」が確認されたが、「長丁場での対応が必要」としている。

 

新規陽性者数は、4月10日前後は700人近くだったが、直近では200人程度に留まる日も増えてきたことから、外出自粛等は「一定の成果」を見せている。しかし、3月20日過ぎから生じた発症者数の急増のスピードに比べれば、減少のスピードは緩やかである。減少が鈍い理由は、地方に感染が拡大したからと分析している。

 

全国の実効再生産数は、3月25日は2.0だったが、4月10日には0.7となり、1を下回った。東京都は、3月14日の2.6から、4月10日には0.5に低下。「全国的に新規感染者数は減少傾向にあることは確か」として、図C-4を提示している。なお、C-4において、黒線は私が計算した実効再生産数のグラフである。

 

C-4.実効再生産数政府.png新型コロナの報道がなされるようになって、テレビ局から引っ張りだこの白鴎大学の岡田晴恵教授(感染免疫学、公衆衛生学)は5月3日、1日に行われた政府の専門家会議で発表された実効再生産数について疑問を呈している。緊急事態宣言は4月7日に7都府県に対して出され、16日に全国に拡大されている。問題は今回の4月10日の実効再生産数0.7や0.5の数字。0.7や0.5というのは、海外だったら緊急事態宣言のような施策を解除するレベルの数字。これからすると、感染が縮小傾向にあるときに緊急事態宣言が出されたことになる。この数値が本当に当たっているのか疑問に思える。国家のかじ取りをするような数値なので、その計算式やデータを開示して、複数の研究者が検証できるようにお願いしたいと話している。

 

-4を見ていただきたい、黒線は私が計算した実効再生産数のグラフであるが、黒線の実効再生産数は、3月25日は約2.0で4月10日は約0.7となっており、専門家会議の値とほぼ合っている。しかし、大きく違うところが1ヶ所ある。それは、私のグラフは18日間左にずらせて、専門家会議のグラフと合わせている。

 

私の計算は、1月21日から4月30日までのNHKが集計した新規感染者の日々のデータを使い、7日間の移動平均で実効再生産数計算している。実際に答えが出るのは2月9日から4月30日までである。C-4のグラフで黒線の右端の4月12日の0.7の値は、私の計算で実際は4月30日の値である。専門家会議の実効再生産数のグラフと私のグラフの傾向が似ていることからすると、専門家会議の4月12日の値は、4月30日までのデータを使って計算されているような気がする。

 

C-5.再生産者数山中.png私の計算の仕方、条件の設定に間違があるのではないかと心配になった。実効再生産数の計算には色々の方法があるが、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は大阪の実効再生産数を計算しブログに掲載されている。C-5が山中教授の再生産数のグラフで、黒線が私の計算した大阪の再生産数(実効再生産数)である。両者は概ね合っているが、私のグラフは4日間左にずらさなければならなかった。このズレは私が7日の移動平均を使っていることから生じたのかも知れない。ズレはともかく、私の計算した実効再生産数も使えることがお分かりいただけたと思う。

 

私が使った計算式は富山大学医学部の折笠秀樹教授のブログ、「折笠秀樹教室」の「NO.116 日本はどうして実行再生産数を示さないのか(2020.4.30)」に掲載されていたものを使用した。

    R=2(L×D)+K(L+D)+1

    R=実行再生産数

    L=平均潜伏期間=7日

    D=平均潜伏感染期間=9日

    K=対数成長速度

      K=(Log(t+(t-1)+・・・+(t-n))-Log((t-n-1)+(t-n-2) +・・・+(t-2n))/n

         t=t日の新規感染患者数(私は7日間の移動平均を使用)

    n=任意の期間(私は7日間を使用)

 

C-6.再生産数の欠陥.pngこの式を使って実効再生産数Rを計算していくと、実効再生産数Rの欠点が浮かび上がった。それがC-6の表である。実効再生産数でみると感染者が2倍増えたとき(5000人→100001人→2人)実効再生産数()は同じ1.8、感染者が同じであったとき(10000人→10000人、1人→1人)Rは同じ1.0、感染者が1/2に減少したとき(10000人→5000人、2人→1人)Rは同じ0.43である。アメリカは5月1日に実効再生産数が0.99と1を下回った。しかし、5月1日の新規感染者数は34,037人である。いくらトランプ大統領だって新型コロナは収束に向っているとは言えないだろう。

 

また、我国も新規感染者が減少してきた。非常事態宣言が解除されしばらく経った頃、前々週は一週間に一人だった新規感染者が前週に三人と二人増えたというときもあるだろう。そのときの実効再生産数は2.38となる。専門家会議は、実効再生産数2.38はオーバーシュート(爆発的患者急増)の段階なので、ロックダウン(都市封鎖)をしなければならないと提言するのであろうか。C-4、C-5の左端近くの実効再生産数を見ると、Rが非常に高くなっている。新規感染者数が少なくなると、実効再生産数は大きく変化しする。5月12日のNHKの7時のニースはこのことを取り上げていた。実効再生産数()は金科玉条ではないのだ。

 

国民は一目で分かり、色々な場面が来ても言い訳をせずにすむ指標を求めている。色々言い訳ばかりをしていると信用されなくなる。そこで思いついたのが実効再生産数()に新規感染者数の対数を掛け合わせた感染指数(RxP:アール バイ ピー)である。これまでの報道で、我々は実効再生産数()が1を下回ると安全圏に入ることが刷り込まれており、感染者が連続して100人であったとき、RxPが1になるように設定した。

  感染指数(RxP)=実効再生産数xLog(新規感染者/10+1)/1.04  

-6の表の感染指数の欄をみていただければ、感染指数(RxP)は肌で感じる値であることがお分かりいただけると思う。なお、実効再生産数の計算においては、新規感染者数のゼロが続くと計算出来ないこと、移動平均で新規感染者数が1以下になると変動が非常に大きくなることから、日々の新規感染者数に常に1を加え計算している。

 

C-7.感染者移動平均.png私は新規感染者の推移は7日の移動平均を取っている。大阪府の新型コロナの数値も7日の移動平均を採用している。C-7は全国の新規感染者の推移を、移動平均の日数を3日、7日、14日と変えて表した。新規感染者の移動平均をみると、7日の移動平均ならば、日々の凸凹が平滑されスムーズな曲線を描くことが分かる。もう一つ注目すべきことは、当たり前のことだが、移動平均の日数が多くなるほどグラフは右にズレでくる。同じ値になるのに時間差が生じることだ。

 

C-1.日本RxP曲線.png私は感染指数(RxP)の7日移動平均(セブン)と21日移動平均(トゥエンティワン)をグラフに表わした。それが昨日示したC-1の図である。移動平均の時間差を利用して、セブンが目標値を横切ると声明を出し、トゥエンティワンが目標値に到達すると行動を起こす。論文風に表題を付けるとすれば「新型コロナウイルス感染指数(RxP)の移動平均時間差による施策決定」となる。これが昨日の話である。これを安倍首相が知ったなら、鬼に金棒、失礼、獅子に鰭となるだろう。

 

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明日は「新型コロナを解く:世界各国の感染指数(RxP)動向」の表題で投稿します。アメリカのトランプ大統領、ドイツのメルケル首相が今何をしなければならないかが一目でわかります。

 

なお、新型コロナの関係で私のブログに始めて訪問していただいた方々、是非ブログの古代史の記事もお読み下さい。とは言っても、記事は膨大でありますので、ページの左側にあるマイカテゴリーの下部に「スライド:倭国の誕生と変遷」という表題があります。プロジェクタのスライド形式にまとめておりますので、読み易いと思います。

 

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