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69-13.坏の型式判定をプロ並みのレベルへ [69.須恵器の型式をAIで判定する]

坏は年代決定のための重要な須恵器である。しかし、坏の型式による形態変化(編年で1段階)よりもバラツキ幅の方が大きいため、型式による変化の大きい指標を選定することが肝要である。私は須恵器の型式判別において、縮尺の無い図面や写真も対象としたので、夫々の寸法比率を採用している。飛鳥時代の須恵器の編年において、坏の外径と容量(外径x器高)が有効な指標であることが分った。そこで坏の型式判定指標を見直し、外径・器高✕外径・器高/外径・立上げの4指標で行うこととした。新しく定めた坏のガウス曲線をZ415に示す。外径(OD)・立上げ(KH)の実寸法は有用な指標であった。容量の代用とした器高✕外径(CH✕OD)に期待したが、有用なのは飛鳥時代前半(Ⅱ-5~Ⅲ-1)の期間のみであった。器高/外径(CH/D)はⅠ期(Ⅰ-1~Ⅰ-5)とⅡ期(Ⅱ-1~Ⅱ-6)を明快に分けることに役立っている。

 

Z415.杯身NewGaus.png

Z416.難波宮跡出土須恵器.png645年の乙巳の変で中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏を滅ぼし、孝徳天皇が即位され難波長柄豊崎宮に遷都した。この前期難波宮の柱堀穴・整地層・整地層直下からZ416のH坏とG坏が出土している。Z415にある黒線が前期難波宮出土のH坏の指標値で、飛鳥Ⅱ(Ⅲ-1、TK217新)の時代のものであることが分る。中村浩氏が-6とⅢ-1の2期にまたがる窯としたTG17窯・TG64窯・TG206窯出土の坏の型式を、Ⅱ-6からⅢ-1に変更することで、最も小さな容量を示す飛鳥Ⅱ(Ⅲ-1)の坏の形状が明確に表れるようになった。外径・器高✕外径・器高/外径・立上げの4指標のガウス曲線は、坏の型式判定をプロ並みのレベルに引き上げた。


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