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50-1.『日本書紀』は歴史を900年延長 [50.倭国の盟主国、大和国(ヤマト王権)の誕生]

『日本書紀』の編年によると、神武天皇が大和の橿原の地に建国したのは紀元前660年の辛酉の年である。神武天皇の建国を紀元前660年と古い時代に持ってきたのは、「大和政権の権威を高めるために、中国の歴史に比べて遜色ないように脚色されている」というのが通説である。私は歴史を延長した意図は、「始馭天下之天皇(始めて天下を治められた天皇)」と称される神武天皇の即位を釈迦誕生(紀元前624年)以前に、「御肇国天皇(国をお始めになられた天皇)」と称される崇神天皇の即位(紀元前97年)を新羅の建国(紀元前57年)以前とし、そして、神功皇后を魏志倭人伝に記載された女王卑弥呼に見立てるために、歴史を延長したと考える。
Z33 日本書紀の編年と構成.png
私は書紀に書かれた記事は全て、史実が根底にあると信じているが、
表Z33の「年齢」欄のように百歳以上の天皇が10人以上いる事を
信じるわけにはいかない。書紀は意図を持って歴史を延長している。
その歴史の延長がどのようになされているかを知るために、各天皇の
在位年数に対する記事の記載年数比率を求めた。表Z33の「記載比
率」欄に示すように、1代の神武天皇から9代の開化天皇までは20
%以下、10代の崇神天皇から19代の允恭天皇までが60~20%、
20代の安康天皇から40代の持統天皇までが80%以上である。
この三つの区間の間に品質管理でいう、明らかな有意差があると考え
られる。

神武天皇から開化天皇までは歴史が作られた時代である。2代の綏靖天皇から9代の開化天皇までは「欠史8代」と言われるように、創作された天皇と考える。神武天皇は記載比率が8%であるが、日向を出発してから大和の橿原に建国するまでの8年間の記載比率は75%であり、神武天皇は実在した天皇と考える。崇神天皇から允恭天皇までは歴史が延長された時代で、史実の中に歴史を古くみせようとする作為が折り込まれていると考える。そして、安康天皇から持統天皇までは、歴史がそのまま記録された時代である。

『日本書紀』には魏志倭人伝・百済記・百済新撰・百済本記から引用し挿入した記事がある。魏志倭人伝からの挿入記事は、神功皇后を卑弥呼に見立てている。また、神功紀・応神紀にある百済記から引用した百済王の薨去・即位の記事は、干支2廻り120年遡らせて挿入されていることがよく知られている。それに伴い、神功紀・応神紀にある倭国と百済・新羅・高麗・呉との外交記事も引用記事と同様、120年遡らせて挿入していると考える。また、雄略紀・継体紀には、百済新撰より挿入したと思われる百済王の記事がある。

書紀に記載されている記述を全て史実と信じ、編年された年月は延長されたものだと信じない。この相反する考えを解決する解は、記載された記事と記事の間の空白の期間に、歴史を延長している年月があると考える。書紀から前述した挿入記事を取り除き、記載された記事と記事の間の空白の期間が4年以上のものは、歴史を古くみせるために挿入させた空白の期間と考えた。ただ、欠史8代と言われる、2代の綏靖天皇から9代の開化天皇までは創作された天皇であるとして、全てが空白の期間として扱かう。

表Z33の黄色の部分、仲哀天皇・神功皇后・応神天皇・仁徳天皇の空白年数を合計すると119年で、干支2廻りとほぼ一致する。『日本書紀』の神功紀・応神紀にある百済記から引用した百済王(肖古王・貴須王・枕流王・辰斯王・阿花王・直支王・久爾辛王)の薨去・即位の記事は、干支2廻り120年遡らせて挿入されている。これらより、書紀は記事と記事の空白の期間で、歴史を延長させていることが明白である。表Z33の「空白年数」欄に見られるように、その合計が驚くことに丁度900年となっている。神武天皇の建国は紀元前660年の辛酉の年、それを900年戻すと、900-660=240、
241年の辛酉の年が神武天皇の建国の年となる。
Z34 私の年表(天皇即位の年).png
私は『日本書紀』の編年より挿入記事を取り除き、その上で4年以上の空白の期間を機械的に取り除き、表Z34に示す天皇の即位年の年表を作成した。この操作は、天皇の即位の年を決めるばかりか、『日本書紀』に書かれた全ての記事を、年表に表すことが出来る。これらの年表は魏志倭人伝・宋書倭国伝の中国史書、石上神社七枝刀・好太王碑・武寧王墓碑の金石文と何ら齟齬することがなかった。『日本書紀』は、後世の用語が使われたり、物語化してあったり、誇張があったり、正悪・強弱が反対に書かれたりしているが、その根底は史実に基づいて書かれた歴史書であると考える。

(表をクリックすると大きくなります。)

Z35 日本書紀新年表.png

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Z35-2 垂仁天皇.png 

 

 

 

 

 

 

Z35-3 景行天皇.png














Z35-4 成務天皇.png





Z35-5 応神天皇.png














Z35-6 仁徳天皇(1).png













Z35-7 仁徳天皇(2).png


















Z5-8 履中天皇.png


















Z35-9 雄略天皇.png














Z35-11 継体天皇.png












Z35-10 清寧天皇.png




 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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