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48-3.伊都国は吉野ヶ里遺跡 [48.「魏志倭人伝」に即して邪馬台国へ]

Z16.伊都国への陸行.png

それでは伊都国への道をたずねたい。出発点は唐津市の海岸近くある桜馬場遺跡からとする。「東南陸行五百里にして、伊都国に到る」。唐津市から「東南」の方角とは、松浦川に沿った国道203号線、佐賀市に抜ける唐津線が通るルートしかない。唐津市から松浦川沿いの道は、魏志倭人伝の末盧国の様子に「草木茂盛して行くに前人見えず」とあるのとピッタリである。日本海と有明海の分水嶺は標高100mの笹原峠で桜馬場遺跡から25kmの地点である。峠を下った所が多久市、そこから小城市・大和町を通り、日本中の古代史に興味を持つ人、いや、そうで無い人も含めて、注目を集めた吉野ヶ里遺跡に着く。桜馬場遺跡から吉野ヶ里遺跡まで、図Z16に示すルートの距離は約60kmである。私はこの吉野ヶ里遺跡(神崎町・三田川町)こそ伊都国であると考える。
Z17.初期青銅器文化.png
図Z17は、北部九州に朝鮮半島から青銅器文化が流入し始めた頃から
倭人が楽浪郡に献見するまで、弥生中期の初めから中葉(紀元前370
~前100年)までの、細形青銅武器(剣・矛・戈)と細形青銅武器鋳
型・多鈕文鏡・ガラス(菅玉・小玉)の分布を示す。図Z17からは、
朝鮮半島からの青銅器文化の受入窓口は、宇木汲田遺跡のある唐津湾と
吉武高木・大石遺跡のある今津湾の2ヶ所であつたと考えられる。有明
海沿岸地方の青銅器文化の伝搬経路は、唐津から松浦川を遡り有明海に
抜ける道を通って行われたように見える。魏志倭人伝に云う「東南陸行
五百里にして、伊都国に到る」はまさに、この青銅器文化が伝わった道
である。


Z18.吉野ヶ里遺構.png吉野ヶ里遺跡が注目を浴びたのは、魏志倭人伝に記載されている「楼閣」「宮室」「邸閣」「城柵」に相当する遺構が出てきたからである。吉野ヶ里遺跡は
弥生前期の初めから弥生後期の終わり頃まで続いた遺跡であるが、邪馬台国の
時代と関係の深い弥生後期の遺構についてのみ述べる。
図Z18は吉野ヶ里遺
跡の遺構分布図であるが、後期の遺構は外濠の中に二重濠で囲まれた南内郭と
北内郭および高床倉庫群である。
北内郭は約100mx100mで、建物は掘
立柱が主体で、「宮室」に相当する大型建物跡は約12
.5m四方で、径40~
50cmの柱が16本あり高層建築とされている。北内郭の内部や周辺には祭
祀用土器が多量に出土しており、首長層が居住する地区と考えられている。
南内郭の大きさ
は約150mx100mで、建物は竪穴式住居が主体で、多数
の生活用土器とともに鉄製の農具・工具が出土している。この二つの内郭には
「邸閣」にあたる物見楼
らしい建物跡がある。南内郭に隣接し「邸閣」にあたる高床式倉庫群19棟の大きさは、3.5~6.5mx2.2~4.5mで、普通の弥生の高床倉庫の4倍くらいの面積であるそうだ。南内郭と北内郭を取り囲む内濠からは、弥生中期末から後期末までの土器が出土しており、これらの内郭が卑弥呼の時代には存続していたことは確かなようだ。


Z19.吉野ヶ里写真.png

魏志倭人伝には「租賦を収むるに邸閣あり。国々に市あり。有無を交易し、大倭をして之を監せしむ。女王より以北には、特に一大率を置き、諸国を検察せしむ。諸国これを畏憚す。常に伊都国に治す。」とある。伊都国には諸国を監察する「一大率」が常駐していたのである。吉野ヶ里遺跡の北内郭は「伊都国王」の宮殿で、南内郭は「一大率」の常駐していたところで、隣接する倉庫群は「一大率」の管理下にある倭国の倉庫群とすれば、魏志倭人伝と吉野ヶ里遺跡がピッタリ一致する。


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コメント 2

PeerGynt

伊都国佐賀平野説には、賛成。魏志倭人伝を精読するに、それが一番しっくりくる、と思う。糸島じゃないよね。
だけど吉野ケ里かなあ……。
今日それこそ吉野ヶ里遺跡公園に行き、数時間あちこち見て回ったし係員とも随分会話した。
で、ちょっと意外に感じたこと。吉野ヶ里って、権力者有力者の墓がないらしいね。北墳丘墓ってのも見たけど、大きいとはいえ甕棺14個合葬。
卑弥呼が伊都国に、何代か一大率(多分「天ノ帥」)を送ったとして、一人くらいは現地で亡くなってそうだけど、それらしき墓が全然見当たらないってところが少々気になる。
外交の拠点、国内交通の要所、遠国当地の要といった、魏志倭人伝に書かれている伊都国の役割を考えると、佐賀平野は佐賀平野でも吉野ケ里ではないような気がする。
惣座とか多久とか、もう少し他の選択肢も考慮してみては?
by PeerGynt (2021-11-04 22:32) 

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2023年4月 吉野ヶ里遺跡 石棺墓 発見されました
by お名前(必須) (2023-06-05 15:12) 

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