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44-4.土器編年と炭素14年代のコラボ [44.北部九州の甕棺墓の実年代]

年輪年代法はピンポイントの年代の比定に優れている。しかし、出土した木材が年輪の標準パターンが作成されている杉・ヒノキで、その木材に樹皮直下か辺材部が残り、そして年輪が100層(100年)以上あるものでなければならないという制約がある。そのような条件の整った木材が出土することは極めて少ない。その点、加速器質量分析(AMS)による炭素14年年代測定は、わずか1㎎の炭素量でこと足りるので、土器の外面に付着した煤や吹きこぼれ、土器の内面にこびり付いたおこげから測定できる。

歴博は北部九州の土器編年に出てくる標識土器から煤・吹きこぼれ・おこげを抽出し、
AMSによる炭素14年代測定をおこなっている。これらから得られた炭素14年代の較正年代を、土器の型式の相対関係を利用して土器の存続幅を絞り込んでいく、“土器型式を用いたウィグルマッチ法”と呼ばれる方法で土器の編年を行っている。相対的な序列に絶対的な強みをもつ土器編年でもって、幅拾い較正年代を示す炭素14年代測定の弱みを補ったものである。その研究のはしりが、弥生時代開始年代を500年遡らせた、2003年5月の発表であった。

Y3.ウイグルマッチ.jpgこの方法はデータ数が多いほどその精度が高まる。歴博は2003年以降も九州北・東部の弥生土器を対象に型式別の炭素14年代測定を行い、2008年3月現在で全ての土器型式について測定を完了したとしている。2009年の歴博研究報告「較正年代を用いた弥生集落論」(藤尾慎一郎)に掲載された図より、弥生前期末以後を図Y-3に示している。藤尾氏はこれをもとにした九州北部の弥生土器編年表、図Y-4を作成している。私はそれを基に、弥生中期・後期の年代が明確に分かる北部九州の土器編年表図Y-5を作成した。

Y4.土器編年藤尾.jpgY5北部九州土器編年.png
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