30-7.ソーダ系ガラス素材も日本で作った [30.ガラス素材は弥生時代から造っていた]
私は「28-12.南越国から伝来したカリガラス」で、カリガラスは素材の段階から日本で作られたとした。ソーダ系ガラスも素材の段階から、日本で作られていたのではないかと思っている。弥生後期から古墳時代のソーダガラス・アルミナソーダガラスが、シチメンソウ灰の成分で製作出来るか検証して見る。残念ながら日本産のシチメンソウの成分を知らないので、取りあえずエジプトのSaueda、K2O/Na2O=0.17、MgO/CaO=0.35と同じ成分であると仮定して話を進める。
古墳時代のソーダ石灰ガラスは、5%長石を含んだ石英砂とシチメンソウ灰が2対1の割合で作れることが分かった。なお、下表の配合比は計算上の数値であり、実際の配合比は石英砂66%、シチメンソウ灰34%である。
SiO2 Al2O3 Na2O K2O CaO MgO
①石英砂 95% 5%
②シチメンソウ灰 3.6% 1.7% 31% 5.3% 14% 4.8%
①x54%+②x46% 65% 4.3% 17% 3.0% 7.7% 2.5%
ソーダ石灰ガラス 65% 3.3% 18% 2.6% 6.4% 2.6%
アルミナソーダガラスではMgOの含有量が0.9%と低いことからすると、植物灰を精製して製作したと思われる。植物灰を水に入れ撹拌すると、植物灰のアルカリ成分(Na2O 、K2O)は水に溶け、その他の成分は底に沈む。その上澄み液、灰汁を煮詰めたものを使用したのだろう。石英砂33%と粘土54%に、シチメンソウ灰13%とその2倍の灰から取った灰汁とで、アルミナソーダガラスを製作することが出来る。近代のガラス工業においては、粘土をガラスの原料にする事は考えられないことであろうが、古代はトライ・アンド・エラーの世界、何事も試みたに違いない。
SiO2 Al2O3 Na2O K2O CaO MgO
①石英砂 95% 5%
②粘土 75% 16% 0.4% 1.1% 0.3% 1.1%
③シチメンソウ灰 3.6% 1.7% 31% 5.3% 14% 4.8%
④灰汁 31% 5.3%
①x30+②x50+③x20+④x40 63% 9.3% 18% 3.5% 2.7% 1.2%
アルミナソーダガラス 61% 10% 18% 2.5% 3.4% 0.9%
シチメンソウ灰とその灰汁を使って、アルミナソーダガラスを作る方法は、稲藁灰とその灰汁からカリガラスを作った方法と同じである。海辺に生えていて葉が肉厚で噛むと塩辛い味のする草の灰を使い、白い砂に粘土を混ぜ、カリガラスと同じ方法で作るという情報さえ入れば、すぐにアルミナソーダガラスが出来たと考える。
ガラスを作るのが目的ならば、石英砂とシチメンソウ灰から作れば良い。何故手間暇かけて灰汁を煮詰め、それを原料の一つとして使いガラスを作らねばならなかったのだろうか。アルミナの添加を行ったのは、アルミナに微小な成分が溶け込むことにより、多種の色が発色するからだと考える。
石英の結晶である水晶の色は、紫くらいしかなく乏しいが、アルミナの結晶であるルビーとサファイヤの色は、紫・青・緑・黄色・橙色・ピンク・赤と多彩である。この事とアルミナソーダガラスが多彩な事は同じ現象なのではないかと推察する。写真G81は、マレー半島の遺跡から出土いた、色とりどりのアルミナソーダガラスのインド・パシフィックビーズである。
原料にアルミナ(Al2O3:融点2015℃)が入るとガラス素材の融点が上がり溶融が難しくなるので、灰汁を使うことにより、マグネシア(MgO:融点2800℃)を減少させたのであろう。古代人はトライ・アンド・エラーを繰り返し、現代の科学のレベルに近い仕事をしていたのである。古代人の知恵に感服する。ソーダ系ガラス素材も日本で作ったと考える。
古墳時代のソーダ石灰ガラスは、5%長石を含んだ石英砂とシチメンソウ灰が2対1の割合で作れることが分かった。なお、下表の配合比は計算上の数値であり、実際の配合比は石英砂66%、シチメンソウ灰34%である。
SiO2 Al2O3 Na2O K2O CaO MgO
①石英砂 95% 5%
②シチメンソウ灰 3.6% 1.7% 31% 5.3% 14% 4.8%
①x54%+②x46% 65% 4.3% 17% 3.0% 7.7% 2.5%
ソーダ石灰ガラス 65% 3.3% 18% 2.6% 6.4% 2.6%
アルミナソーダガラスではMgOの含有量が0.9%と低いことからすると、植物灰を精製して製作したと思われる。植物灰を水に入れ撹拌すると、植物灰のアルカリ成分(Na2O 、K2O)は水に溶け、その他の成分は底に沈む。その上澄み液、灰汁を煮詰めたものを使用したのだろう。石英砂33%と粘土54%に、シチメンソウ灰13%とその2倍の灰から取った灰汁とで、アルミナソーダガラスを製作することが出来る。近代のガラス工業においては、粘土をガラスの原料にする事は考えられないことであろうが、古代はトライ・アンド・エラーの世界、何事も試みたに違いない。
SiO2 Al2O3 Na2O K2O CaO MgO
①石英砂 95% 5%
②粘土 75% 16% 0.4% 1.1% 0.3% 1.1%
③シチメンソウ灰 3.6% 1.7% 31% 5.3% 14% 4.8%
④灰汁 31% 5.3%
①x30+②x50+③x20+④x40 63% 9.3% 18% 3.5% 2.7% 1.2%
アルミナソーダガラス 61% 10% 18% 2.5% 3.4% 0.9%
シチメンソウ灰とその灰汁を使って、アルミナソーダガラスを作る方法は、稲藁灰とその灰汁からカリガラスを作った方法と同じである。海辺に生えていて葉が肉厚で噛むと塩辛い味のする草の灰を使い、白い砂に粘土を混ぜ、カリガラスと同じ方法で作るという情報さえ入れば、すぐにアルミナソーダガラスが出来たと考える。
ガラスを作るのが目的ならば、石英砂とシチメンソウ灰から作れば良い。何故手間暇かけて灰汁を煮詰め、それを原料の一つとして使いガラスを作らねばならなかったのだろうか。アルミナの添加を行ったのは、アルミナに微小な成分が溶け込むことにより、多種の色が発色するからだと考える。
石英の結晶である水晶の色は、紫くらいしかなく乏しいが、アルミナの結晶であるルビーとサファイヤの色は、紫・青・緑・黄色・橙色・ピンク・赤と多彩である。この事とアルミナソーダガラスが多彩な事は同じ現象なのではないかと推察する。写真G81は、マレー半島の遺跡から出土いた、色とりどりのアルミナソーダガラスのインド・パシフィックビーズである。
原料にアルミナ(Al2O3:融点2015℃)が入るとガラス素材の融点が上がり溶融が難しくなるので、灰汁を使うことにより、マグネシア(MgO:融点2800℃)を減少させたのであろう。古代人はトライ・アンド・エラーを繰り返し、現代の科学のレベルに近い仕事をしていたのである。古代人の知恵に感服する。ソーダ系ガラス素材も日本で作ったと考える。
2012-12-21 00:00
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