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30-5.ソーダ系ガラス原料のルーツ解明 [30.ガラス素材は弥生時代から造っていた]

ソーダ系ガラスの植物灰の可能性があるのは、砂漠に生える灌木とか、海岸に生える塩生植物である。オックスフォード大学のM.S.Tite氏等は、西アジア・地中海沿岸諸国・ヨーロッパ諸国の砂漠の灌木や塩生植物、56種類の灰の分析を行っている。 

G78 ソーダ原料ルーツ.jpgインド・パシフィックビーズはインドから東南アジアにかけて紀元前から製作されているが、ソーダ系ガラスで出来ている。インド・パシフィックビーズが出土した東南アジアの遺跡を地図上で追っているとき、あることに気が付いた。それは、ほとんどの遺跡が河口のデルタに近いことだ。東南アジアで河口近くの汽水域に生える木といえばマングローブである。タイと西表島のマングローブ8種類の灰の成分が岐阜大学で調査されていた。砂漠の灌木や塩生植物、マングローブの灰の成分より、日本のソーダ系ガラスの原料ルーツを解明したい。表G78はソーダ系ガラスのソーダ成分と、そのガラスの原料のルーツと考えられる植物灰を示している。
 

ソーダ系ガラスの起源となったメソポタミア・エジプトのソーダ石灰ガラスの
MgO/CaOの値は、エジプトの塩生植物Sauedaの2種類の値の丁度中間値である。メソポタミア・エジプトのガラス作りには、2種のSauedaが使用されていたと考える。アラビア語のSauedaは、英語のSoda(ソーダ)の語源にもなっており、古代からガラスの製造にしようされてきた植物である。 

正倉院にもあるサザンガラスは、ペルシャガラスと言われるようにイランで製作されたと考えられている。サザンガラスの
K2O/ Na2OMgO/CaOの値は、イランでOsnanと呼ばれている植物灰の値とほぼ同じである。サザンガラスはOsnanの灰を原料として作られていたと考えられる。 

G79Santubang遺跡.jpgタイ
Laem Pho遺跡(n=3)・マレーシアPengkalan Bujang遺跡(n=8)・サラワクSantubong遺跡(n=9)で製作されているインド・パシフィックビーズのMgO/CaO値は、3遺跡の全ての値が0.1以下で特異な値を示している。また、植物灰でMgO/CaO値が0.1以下のものは、マングローブ以外には見られない。これらの遺跡のソーダ系ガラスは、タイで採取されたマングローブのB.gymnorrhizaという品種が対応している。3遺跡とも河口近くにあり、それぞれの地域でも同じような値を示すマングローブが自生していると考える。 

マングローブをソーダ系ガラスの原料として使用したのは、遺跡の時期から見て6世紀以降であるのかも知れない。マングローブの灰がガラスの原料となった主張するのは、世界で私が初めてかも知れない。

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