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30-2.コバルトブルーのカリガラス [30.ガラス素材は弥生時代から造っていた]

弥生後期に全国的に拡がったカリガラスは、その色調で青色系と緑色系、そして青紺色系に分類することが出来る。これらの色調は含まれる成分によって変わり、CuO成分がFe2O3 成分の2倍以上あれば青色が発色し、2倍以下ならば緑色が発色する。また、CoO成分がわずかでもあれば、ガラスは青紺色を発色する。下記に弥生カリガラスの色調を左右する成分のみを比較した。
  
      Fe2O3    CuO    MnO       CoO      CuO/Fe2O3 
    ①淡青色    0.51%     1.19%    0.010%     0%         2.33%
    ②青緑色    0.86%     1.42%    0.005%     0 %        1.65%
    ③青紺色  1.52%     0.03%    1.62%       0.05%    0.02% 

①は
CuO成分がFe2O3成分の2.33倍あり、青色系の淡青色に着色されている。②はCuO成分がFe2O3成分の1.65倍あり、緑色系の青緑色に着色されている。③はCuO成分がFe2O3成分の0.02倍と非常に小さく、緑色系の色に着色されるはずであるが、CoO成分が0.05%あるため青紺色に着色されている。それほどコバルトイオンの(Co2+)影響は大きいのだ。ここでイオンという言葉を使ったが、金属酸化物はガラスの中では、金属イオン(Fe3+,Cu2+)として発色に関与している。 

日本で出土するカリガラスの3分の1ほどが
CoOを含有するコバルトブルー(青紺色)のカリガラスで、MnOを多く含有している。これらCoOを含有するカリガラスについての通説がある。「日本にはコバルトの鉱山がない。だから、CoOを含有するカリガラスの素材は日本で作られたものではない。中国のコバルト鉱石にはマンガンが多く含んでいる。だから、これらのガラス素材は中国で作られたものである」。この通説が本当ならば、カリガラスは稲藁灰とその灰汁を原料に、日本で作られたという私の説は成り立たなくなる。それが真実かどうか検証してみる。
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