28-6.韓国の古代アルカリガラス [28.中国・韓国の古代ガラス]
中国から入って来た鉛バリウムガラスで始まる韓国古代のガラスは、続いて紀元1世紀頃には、カリウムガラスとソーダガラスのガラス玉が登場する。カリウムガラス玉が出現するのは、紀元前1世紀ころで大邱市八達洞、慶尚南道義昌郡茶戸里から、紀元後1世紀ころには昌原市三東洞、慶州市朝陽洞、済州市龍潭洞から、4~5世紀になると晋州地域、昌原市道渓洞、釜山広域市老甫洞、慶山市林堂洞など、中南部で広域に分布している。
慶州市朝陽洞出土のカリガラス製小玉・管玉の成分分析と、中国のカリガラスの値を比較してみた。両者の組成がほぼ一致することが分かる。前漢時代には中国のカリガラスは、広西省と広東省の沿岸部で発達している。韓国のカリガラスの始まりは前漢の終わり頃であり、この頃広西省と広東省の沿岸部と、どのような交流があったか興味がそそられる。
SiO2 Na2O K2O CaO MgO Al2O3
韓国カリガラス 74% 1.0% 14% 2.6% 0.4% 3.0%
中国カリガラス 76% 0.4% 14% 1.8% 0.6% 3.6%
韓国のソーダガラスの初例は、全羅南道海南郡郡谷里貝塚出土の草緑色管玉で、原三国時代の紀元1世紀に属する層から出土している。これ以後、2・3世紀から三国時代にかけて作られた大部分のガラス玉はソーダガラスであった。金海市良洞里、慶尚南道陜川郡玉田、昌原市道渓洞、釜山広域市老甫洞、慶山市林堂洞から出土している。
韓国のソーダガラスには、Al2O3の含有量が多くCaOの含有量は少ないタイプと、Al2O3は少なくCaOが多いタイプの2種類がある。ソーダガラスは(K2O+MgO)/Na2Oの値で、原料にナトロン(天然Na2CO3)を使用したか、それとも植物灰を使用したかが分かるが、詳細な分析データを知らないので判断出来ない。中国には前漢時代以降ソーダガラスが普及していないことを考えれば、韓国のソーダガラスは注目に値する。
慶州市朝陽洞出土のカリガラス製小玉・管玉の成分分析と、中国のカリガラスの値を比較してみた。両者の組成がほぼ一致することが分かる。前漢時代には中国のカリガラスは、広西省と広東省の沿岸部で発達している。韓国のカリガラスの始まりは前漢の終わり頃であり、この頃広西省と広東省の沿岸部と、どのような交流があったか興味がそそられる。
SiO2 Na2O K2O CaO MgO Al2O3
韓国カリガラス 74% 1.0% 14% 2.6% 0.4% 3.0%
中国カリガラス 76% 0.4% 14% 1.8% 0.6% 3.6%
韓国のソーダガラスの初例は、全羅南道海南郡郡谷里貝塚出土の草緑色管玉で、原三国時代の紀元1世紀に属する層から出土している。これ以後、2・3世紀から三国時代にかけて作られた大部分のガラス玉はソーダガラスであった。金海市良洞里、慶尚南道陜川郡玉田、昌原市道渓洞、釜山広域市老甫洞、慶山市林堂洞から出土している。
韓国のソーダガラスには、Al2O3の含有量が多くCaOの含有量は少ないタイプと、Al2O3は少なくCaOが多いタイプの2種類がある。ソーダガラスは(K2O+MgO)/Na2Oの値で、原料にナトロン(天然Na2CO3)を使用したか、それとも植物灰を使用したかが分かるが、詳細な分析データを知らないので判断出来ない。中国には前漢時代以降ソーダガラスが普及していないことを考えれば、韓国のソーダガラスは注目に値する。
2012-08-24 00:00
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コメント(3)
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はじめまして。古代のガラスを検索して辿り着きました。
弊ブログでガラスについて書こうと思ったからです。
素晴らしい考察をありがとうございます。
[27.古代ガラスの源流を探る]のアドレスを明記して引用させていただこうと思ったのですが、
書いていくうちに、殆どコピペになってしまい(引用は文章だけです。写真や図は載せません。)
これだけの労作を無断で使わせていただくのは忍びなく、
t-tomu 様の了解をいただいてからにしようと思いました。
[28.ガラスを透して古代を見る]については執筆途中かもしれず、なおさらです。
さらに問題があります。
私はいわゆる「トンデモ』系歴史観を持っていて(自覚があるような無いような…)
ガラスについてもt-tomu 様に教えていただきながら違う結論になってしまうかもしれません。
コメント欄にこんなヘンなお願いするのは気が引けるのですがすいません。
当方のバージョンが古いためか「nice!」がクリックできないのも残念です。
by ざる (2012-11-28 19:24)
コメントありがとうございます。アドレスを明記頂いての引用、問題ありませんのでご使用ください。私の目的は歴史の真実を探求することです。常に自分の説と他の人の説を比較し、どちらが史実に近いか、勝ったか負けたかを考えています。相手は専門家であっても、アマチアであっても同じです。判定はどうしても自分に甘くなるのは否めませんが、自分の説の弱点も知っているつもりです。貴方様の結論楽しみです。なお、表とグラフで私が作成したものは引用頂いて結構ですが、原データは私のものでないことを御承知ください。写真の引用はお断り致します。
by t-tomu (2012-11-29 08:58)
早速のお返事、ありがとうございます。
ブログを仕上げてからお礼のコメントを書こうと思っていたのですが、後半難しくてまとまりません。
なので先にお礼を書かせていただきます。
「どちらが史実に近いか」・・・
例えば邪馬台国論争では日本の考古学のプロは9割方畿内説です。
これはもう、学問を捨てた学者集団だと嘆いています。
一方、九州説はみなさん比定地がバラバラで、それぞれ自信を持っていますので
「勝ったか負けたか」と生活に張りが出ます。
後ほどじっくりガラス以外のカテゴリーを読ませていただきます。
写真の件、承知しました。今回はありがとうございました。
by ざる (2012-11-29 21:46)