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27-10.バンチェンの彩文土器 [27.古代ガラスの源流を探る]

バンチェン遺跡で有名なのが彩文土器である。現在でも工芸品として、昔と全く変わらない製法でバンチェン土器のコピーが製作されている。陶芸家の大石訓義氏は、バンチェン村で4ヶ月に渡り、タイの王妃の前で土器造りの技を披露したという名人に弟子入りしたそうだ。大石氏はその技法を紹介しているが、その中に非常に興味ある事が書かれていた。 

G32バンチェン彩文土器.jpgそれは、粘土に練り込まれるシャモット(素焼きした粘土を粉末にしたもの)と呼ばれる骨材のことだ。日本でも土器には骨材が入れられるが、一般的には石が多い、中にはシャモットが使われる場合もあるが、それは土器を砕いて粉にしたものである。バンチェンのシャモットは非常に変わっている。地面に穴を掘り、その中にドロドロに溶いた粘土を半分ほど入れ、籾殻を入れて満杯にしてよく混ぜ合わせる。地面が水分を吸い乾いてくるので、砲丸球位の大きさの玉を作り乾燥させる。それを野焼きすると、籾殻が灰になりスポンジ状の素焼物が出来る。それを砕いてシャモットとして使用するそうだ。
 

下記に籾殻灰と粘土の成分を示す。籾殻灰の成分で粘土より増加するものは、
SiO2K2OCaOであり、これはまさにガラスの成分で、シャモットが土器の焼成を促進させる働きをしていると考える。古代の人の知恵は、科学的に見ても合理的である。
                                SiO2  Na2O    K2O   CaO   MgO    Al2O3
        籾殻灰  91%   0.2%   3.7%  3.2%  0.01%   0.8%
               粘土   75%   0.4%   1.1%  0.3%  0.7%      16%
 
バンチェン遺跡から出土した土器の、時代別の成分分析値を見ると、先史時代は粘土成分に近いが、青銅器時代から
K2OCaOの値が増加していることが分かる。これは青銅器時代から籾殻灰のシャモットを使用していた証拠であると考える。
                                  SiO2  Na2O  K2O   CaO   MgO  Al2O3
        先史時代    58%   0.1%   1.3%  0.7%  0.7%    18%
        青銅時代    56%   0.3%   2.5%  1.8%  0.6%    16%
        鉄器時代    67%   0.3%   2.6%  1.1%  0.4%    14%

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