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23-5.イネの起源地を推定する [23.稲の起源はスンダランド]

B47 アジアのイネ.jpg農業生物資源研究所(NIAS)のデータにはモチかウルチ化の区別はない。ただ、熱帯ジャポニカ(Tropical japonica)において、Waxy遺伝子が「wx」ならばモチ、「Wx」ならばウルチということが分かる。しかし、温帯ジャポニカ(Temperate japonica)は「Wx」ならばウルチとわかるがwx」はウルチかモチか分からない。 私のイネの系統図(図B45)に、その在来種の国名をいれ、それにNIASの区別が明確な熱帯ジャポニカwx」と「Wx」、温帯ジャポニカの「Wx」のデータを付け加え、図B47を作成した。

ジャポニカの起源は、G(F)と
qSW5 Wx qSH1の熱帯ジャポニカのウルチであり、起源地はフィリピン・マレーシア・インドネシア、ベトナムであると考えられる。 この考えに対し、佐藤氏は「イネの歴史」(2008年版)の中で、「この結論は、まず、考古学の成果とまったく合わない。東南アジア島嶼部における稲作の始まりは、考古学的にはせいぜい4000年ほど前のことである。長江流域における稲作の開始より数千年遅いのである。・・・これら島嶼部に現在すむ人々の先祖が伝わったのがせいぜい数千年前であるという人類学的な証拠もある。」と反対意見を述べている。

 佐藤氏の反論は考古学者の発想だ。農学者・遺伝学者としての佐藤氏の考えはどうなのであろうか。論文を書いた正村純彦氏達(NIAS)の考え「三つの優性遺伝子は劣性遺伝子より古く、したがってこの三遺伝子を併せ持つ品種は、より古いタイプの品種ということになる」について、佐藤氏は「この推定は遺伝学的にも、また優性形質が劣性形質より古いタイプの形質である事実からみても妥当だと思われる」と述べている。イネの起源が東南アジア島嶼部にあったことは、遺伝学的に認められても、稲作の起源を考古学的には認められないのだろう。
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