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23-3.イネのDNAについて [23.稲の起源はスンダランド]

米国のノースカロライナ州立大学のM.Olsen氏は「Molecular Evidence on the Origin and Evolution of Glutinous Rice(モチ米の起源と進化についての分子レベルの証拠)」という論文を2002年に出している。アジアの105種の在来種のイネ、インディカ・熱帯ジャポニカ・温帯ジャポニカ、そしてモチ米・ウルチ米について、Waxy(粘性)遺伝子のタイプについて調査している。 

この論文は最後に付表で、105種のイネのデータを全て載せている。私はこれらのデータをエクセルに取り込み色々層別してみた。すると、農業生物資源研究所のイネの起源と進化に対する結論より、より明確な答えを導き出すことが出来た。
 

これからの話を理解いただくため、ごく簡単にDNAの説明をしておく。DNAは色々な遺伝子が繋がっている紐と考えれば良い。一つの遺伝子は一つの仕事を持っている。例えば、米の
Waxy遺伝子は、「米のねばねばを作る」という仕事であり、その仕事を為すための「指図書」と「設計図」を持っている。 

B44DNA.jpg遺伝子の初めの部分は「プロモーター」と言われ、「いつ・何処に・何を」するかの「指図書」が書かれている。例えば「受粉後、胚乳に、ねばねばのデンプンを作る」等である。次にあるのが「エクソン」という部分で、作るでんぷんの「設計図」が書いてある。この設計図通りに、「リン酸―糖―塩基」のセットを組み立てると「アミロペクチンやアミロース」が出来る。リン酸と糖は全て同じだが、塩基には「A・G・C・T」の4種類があって、この4つの組合せの配列で異なった形質、たとえばアミロースの含有量の違ったものが出来る。
 

コンピーターが「0・1」の2つの組み合わせの配列で作動していることを考えると、4つの組合せで作られる生命体が、いかに複雑であるかが分かる。エクソンの後に「イントロン」という部分がある。この部分は「履歴書」みたいなもので、「米の粘りが弱い」などが書かれてある。図B44にそれらの概念図を示す。
 

M.Olsen
氏の論文の内容は、英文で専門用語が多く、十分理解できていないが、大略すれば、「Waxy遺伝子の第一イントロンの先頭にある一つの塩基が、突然変異で変わると、胚乳のデンプンがねばりの体質に確実に変化する。そして、この突然変異が進化の起源の一つであり、それは東南アジアで起こった。ウルチ米からモチ米が発生した。」という内容である。
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