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20-6.祭祀に使われた青銅器の鉛産地 [20.青銅器の鉛同位体比の秘密]

B15青銅祭器.jpg剣・矛・戈は青銅武器として用いられ、その型式は細形・中細形青銅武器であった。また、銅鐸においては鳴らす鐘として、菱環鈕・外縁1式銅鐸が存在した。その後、剣・矛・戈は中広形・広形へと、銅鐸は外縁鈕2式・扁平鈕・突線鈕へと、祭祀に使われる青銅器として大型化していった。荒神谷出土の358本の銅剣は中細形であるが、この分野に属している。図B15に、これらの鉛同位体比分布を示す。データは766個あったが、その内異常値として省いたのは5個のみであった。 

青銅祭器の分布は、朝鮮系青銅器の鉛同位体比分布図が示す、ラインDより上にあった。なお、プロットの右上にはラインDに載ったものもあるが、青銅祭器の分布が広がったものであることが、荒神谷鉄剣の同笵剣のデータより確認出来た。鉛の原料産地の鉱山は、分布が作る直線帯の端にあるとの仮説より、韓国忠清北道の月岳鉱山が最適であることを見つけた。
 

魏志東夷伝の弁辰には「国、鉄を出し韓・濊・倭みなこれを取る」とある。この弁辰が何処にあったか明確でないが、洛東江流域にあったことは間違いないことである。月岳鉱山は洛東江の上流にある。青銅器の原料であった鉛の産地が、中国の山東半島から朝鮮半島の洛東江の上流域に変わったのは、倭が洛東江流域から鉄を入手しだした時代かも知れない。
 
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