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21-2.仿製三角縁神獣鏡の見分け方 [21.三角縁神獣鏡を調べる]

三角縁神獣鏡のうち、明らかに日本で作られたと考えてられている仿製鏡は62種133面ある。仿製三角縁神獣鏡の見分け方として、「内区に捩り文座がない6個の乳」が配置され、「内区の帯に乳がある」。ただこれだけである。 

私が写真で確認することが出来た仿製鏡は46種108面、81%の仿製鏡を調査したことになる。その内、上記条件に適合したものが43種102面であった。
福永氏の分類より3種6面少ない。この3種6面の鏡は踏み返しといって、舶載鏡を押し当て鋳型を作った仿製鏡なので、私の条件には適合しなかったものである。一方福永氏が舶載鏡としていた中に、私の条件に適合した鏡が4種9面あった。これらの鏡は全て獣紋帯三神三獣鏡で、同笵番号(114、115、117、118)であった。これらを「舶載→仿製鏡」と表記する。 
B6仿製教.jpg
仿製鏡16面と舶載→仿製鏡3面の鉛同位体分布図と、前述した舶載鏡A段階と魏の紀年鏡の分布図を図6に示した。分布図には舶載鏡の、B~D段階の鉛同位体分布図を載せていないが、A段階や魏紀年鏡が作る直線帯と同じように分布している。これらからすると、舶載鏡と仿製鏡は、明確に使用原料の鉛が違っており、名称の通り、中国で作られた舶載鏡と、日本で作られた仿製鏡ということを暗示している。
                       
                     (図をクリックすると大きくなります)

また、舶載→仿製鏡の鉛同位体分布は、仿製鏡の作る直線帯にあり、仿製鏡であることが分かる。福永氏の分類判定より、私の分類の方が正解であった。橿原考古学研究所の所長を長く務められた樋口隆康氏は、「三角縁神獣鏡綜鑑」のなかで、これらの鏡について、仿製鏡との区別がつけにくいグループと言っている。
 

三角縁神獣鏡は日本全国から約500面も出土しているにもかかわらず、中国本土・朝鮮半島からは1面も出土していない。このため三角縁神獣鏡の製作地が中国だ、倭国だ、呉の職人が倭国で作ったという論争が起り、いまだに結論が出ていない。「魏の紀年鏡」を中国で作られたと認めるならば、図6の鉛同位体分布図からみて、三角縁神獣鏡の製作地は中国と言える。

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