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B-2.国立歴史民俗博物館の年代観 [Blog:古代史散策]

台風15号が日本列島を直撃した9月21日、私は海外旅行に出かけるため、出国審査を終え搭乗ゲートで飛行機を待っていた。私達の乗る飛行機は成田に降りられず、千歳に行ったためツアーが中止となり、免税店で買った酒を返品、出国の取消をして成田に一泊した。 

翌日、成田市の近くの佐倉市に国立歴史民俗博物館あることを思い出し、
歴博に行くことにした。歴博は緑に恵まれた静かな環境にあり、展示も垢ぬけしており、さすが国立の博物館であると感じさせられた。しかし、展示のジャンルが原始から近世までと幅広く、縄文・弥生・古墳に興味がある私にとっては、物足りないものであつた。 

それよりも一番気になったのが、成田空港に近い絶好の立地条件にありながら、外国語での説明は一切なく、外国人に日本の歴史・文B1歴博年代.jpg化を知ってもらおうという雰囲気がまったくないことだ。私も海外によく出かけるが、どこの国に行っても、そのツアーには博物館の見学が入っており、その国の歴史・文化を知ることが出来る。歴博が歴史・考古学のメッカであり、そして博物館として日本の歴史・文化を世界に紹介する場となって欲しいと感じた。
 

さて、私が興味を持ったのは、第一展示室の縄文・弥生時代の年代が、歴博が推進してきた炭素14年代測定法にもとづく年代で、表記されていたことでだ。2010年10月に発行された第一展示室のパンフレットには、「新しくなった年代観に基づいて縄文・弥生文化観の見直しをおこない、近い将来、総合展示に反映させるべく準備を進めています。」とあるので、年代表記を変えたのは今年になってからであろう。それらの案内ビラにあった「縄文・弥生文化の年代」の図表を図B1に示す。
                       (図をクリックすると大きくなります)
B2歴博稲作.jpg
炭素14年代測定法について歴博は、
「国立歴史民俗博物館では、土器に着いているススや煮焦げを対象に、高精度のAMS-炭素14年代測定を5千点ほど実施してきました。その結果、縄文時代は従来の年代観よりも約2千年早く始まり(1万6千年~1万5千年前)、弥生時代は約5百年早く始まっていた(3千年前)ことを明らかにしました。また古墳時代の幕開けを告げる箸墓古墳も、3世紀中頃には出現していたことを科学的に突き止めました。」と説明している。ビラにあった「水田稲作の広がり 中国から日本列島へ」を図B2に示す。 

考古学者の中には、歴博の年代観について、異論を挟む人も多いようだが、私は事実に近いのではないかと思っている。それは歴博が科学的手法で測定しているからだけではない。炭素14の測定という科学的手法と、考古学者が長年行って来た土器の編年とをマッチングさせているからだ。また、年輪年代法とマッチングした較正年代を使い、5千点という膨大な資料を取っていることから、統計的に誤差・異常値・バラツキも排除出来ていると考える。これらの年代観に基づいて、日本の歴史が明らかになって行くことを期待したい。

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