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6-1.天孫降臨神話 [6.実在した神代の世界]

日本書紀・古事記には「神代」として、天孫降臨神話が記載されている。古事記は一貫した物語となっているが、日本書紀は本筋の他に多数の異説を併記しており、日本書紀の方が語り継がれてきた伝承記録に近いと考えられる。日本書紀に書かれた神話(異説も含めて)をもとにして、歴史上の史実を探って見る。 

昔、天と地が分れた時に神が生まれた。その七代目の神、伊奘諾尊(いざなぎのみこと)・伊奘冉尊(いざなみんのみこと)は玉飾りの矛で海をかきまぜ、大八洲国を生み、そして天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔鳴尊(すさのおのみこと)を生まれた。天照大神は高天原を治められた。伊奘諾尊は神の仕事をすべて終られて、高天原の日の少宮に留まりお住みになった。

高天原を訪れた
素戔鳴尊は天照大神と誓約をして、素戔鳴尊の十握剣から三柱の女神(筑紫の宗像君が祀る神)が生れ、天照大神の五百箇の御統から五柱の男神、天忍穂耳尊(あまのおしほみみのみこと)、天穂日命(あまのほひのみこと)(出雲土師連の先祖)、天津彦根命(あまつひこねのみこと)(山代直の先祖)、活津彦根命(いくつひこねのみこと)、熊野櫲樟日命(くまののくすびのみこと)が生まれた。 

素戔鳴尊は天の狭田・長田に馬を放って畔を壊し、機殿の屋根に穴をあけて馬の皮を投げ入れる等の狼藉を働いた。天照大神は機織の梭で身体をそこない、怒って天の岩屋にこもられた。そのため国中が常闇となり夜昼の区別も分らなくなった。 高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)の子の思兼神(おもいかねのかみ)は深謀遠慮をめぐらし常世の長鳴鶏を競わせ、天児屋命(あまのこやねのみこと)(中臣連の先祖)と太玉命(ふとだまのみこと)(忌部の先祖)は榊の枝に五百箇の御統と八咫鏡、青と白の麻のぬさをかけて祈祷し、天鈿女命(あまのうずめのみこと)(猿女君の先祖)は茅纒の矛を持って天の岩屋の前で喋り踊った。天照大神が様子を見ようと少し磐戸をあけたので、手力雄神(てちからおのかみ)が天照大神の手をとって引き出された。 

素戔鳴尊は高天原より追放され、出雲の簸の川に降りられた。そこで八岐大蛇の人身御供に娘を差し出さなければならないと嘆いていた翁と媼、脚摩乳(あしなづち)と手摩乳(てなづち)に出会った。素戔鳴尊は娘の奇稲田姫(くしいなだひめ)を貰い受け、八岐大蛇を退治した。素戔鳴尊と奇稲田姫の子が大己貴神(おおあなむちのかみ)(大国主神(おおくにぬしのかみ))で、大己貴神は出雲を平定した。 

天照大神の子、天忍穂耳尊は高皇産霊尊の娘の栲幡千千姫(たくはたちちひめ)を娶られて、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が生まれた。皇祖の高皇産霊尊はこの孫の瓊瓊杵尊を可愛がられ、葦原中津国の君主にしようと思われた。葦原中津国を平定しようと、出雲に天穂日命を行かせた。けれども天穂日命は大己貴神におもねって、三年たっても復命しなかった。その後も大己貴神はなかなか国を譲らなかったが、四度目の使者に対して子の事代主神(ことしろぬしのかみ)共々、服従を誓った。 

高皇産霊尊は瓊瓊杵尊を日向の襲の高千穂の峰に降ろされた。瓊瓊杵尊は吾田国の笠狭崎で大山祗神(おおやまづみのかみ)の娘、木花開耶姫(このはなさくやひめ)を娶り、火闌降命(ほのすそりのみこと)(隼人の始祖)・彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)・火明命(ほのあかりのみこと)(尾張連の始祖)の三人の子が生まれた。(尾張連の始祖の火明命は、瓊瓊杵尊の兄という異説もある)瓊瓊杵尊は日向の可愛の山の陵に葬られた。 

兄の火闌降命は海の幸を得、弟の彦火火出見尊は山の幸を得た。兄弟は幸を取替えようと釣針と弓矢を交換したが、その幸は得られなかった。兄は釣針を返すよう要求した。弟は無くしていて困り果て、海岸で嘆いていた時、翁に会い海宮に案内された。そこで無くした釣針を得、海神の娘の豊玉姫(とよたまひめ)を娶られた。 

海宮に三年留まった後に郷里に還えった弟は、海神の教えに従い兄を降伏させた。火闌降命は吾田君小橋らの先祖である。後に豊玉姫は妹の玉依姫(たまよりひめ)を連れてやって来た。豊玉姫は出産の時に体が竜になり、それを見られたのを恥じて海路を帰られた。生まれた子を名付けて鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)という。彦火火出見尊は日向の高屋山上陵に葬られた。 鸕鷀草葺不合尊は叔母の玉依姫を妃とされ、彦五瀬命(ひこいつせのみこと)・稲飯命(いなひのみこと)・三毛入野命(みけいりののみこと)・磐余彦尊(いわれひこのみこと)を生まれた。鸕鷀草葺不合尊は日向の吾平山上陵に葬られた。 

磐余彦尊(神武天皇)は、「東の方に良い土地がある、そこは国の中心地で天下を治めるに良い。昔、天の磐船に乗って饒速日(にぎはやひ)という者がとび降りている。そこに行って都をつくるにかぎる」と言われ、東征に向かわれた。表9 神々の系譜.jpg

日本書紀に記載された神々の系譜を表
9に記す。( )は別称を示し、【 】は子孫を示し、〈 〉は省略を示している。点線で結んでいるものは、書紀の異説にある事柄で、一点鎖線は先代旧事本紀を参照している事を示す。


                  (表をクリックするとおおきくなります)
 


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